2020年 2月定例会 討論

全議案に賛成

議席26番,無所属,中西大輔です。
 私は,2月定例議会に提出された議案第1号から第29号の全議案に賛成の立場をとり,複数議案について,順番は前後しますが意見を述べさせていただきます。

 まず,私,3月3日の議案質疑で,若干ですが新型コロナウイルスの影響について触れさせていただきました。2月19日の議案が出された日の時点で,新型コロナウイルスの影響が出るのではないかということも予想される状況だったと思います。それが今,全世界的に非常に大変な状況になっているということは,ある意味では,津波と同じようなことが起こっているのではないかというふうに考えるところです。
 その後,2019年10月から12月のGDPについて,7.1%マイナスと下方修正されて発表されたり,先ほども申しましたが,コロナウイルスのほうは世界的なパンデミックとなって,オリンピックの延期ということも決定され,金融市場では大きな混乱が起きて,リーマン・ショック以上の混乱が起きるのではないかと言われておりますし,また世界的に人や物の移動が停滞して,消費意識も低下するということで,実物経済,実体経済の停滞も予想されるところだと思います。
 金融経済と実体経済,実物経済の停滞をあわせると,大きな変動というものが,この年度,私たちの社会全体に起こるというふうに考えるところです。覚悟をもって鈴鹿市政に取り組むことが,私たちに求められていると考えるところです。

 それでは,意見を述べます。
 議案第9号 鈴鹿市基本構想の変更について,地域づくりを市民の皆さんに求める一方で,福祉や教育,防災といった市民の皆さんにとって重要な領域で地域の考え方が一貫性をとられているのかといえば,まだとられていない状況だというふうに考えます。ですから,鈴鹿市として制度や仕組みについて,条件の整理にきちんと取り組んでいただくこと,それに責任意識を持って取り組んでいただくことを期待し,賛成とします。

 次に,議案第20号 鈴鹿市国民健康保険条例の一部改正についてと,関連する議案第2号についてですが,今,新型コロナウイルスの影響が各般に広がっている中では,やはり減免のほうに目が向きがちですが,保険料を支払っている方全体に対して,やはり配慮を持っていく,そのことに対して柔軟な対応をしていくことを期待し,賛成とします。

 それでは,議案第1号 令和2年度鈴鹿市一般会計予算及び議案第26号,令和元年度補正予算(第5号),議案第29号,令和元年度補正予算(第6号)について意見を述べます。

 議案第1号について,4年間で約23億円の財源不足が予想された財政見通しに対する今回の予算の考えについて,質疑の際の答弁から一定の理解をさせていただきました。ただ,予算編成に当たって,令和2年度予算資料が提出されておりますが,こちらに書かれているいろいろな国の背景であったり,いろいろな考え方が示されておりますが,それらが,この新型コロナウイルスによる影響によって,かなり大きく修正しないといけないというふうになっていることは事実だというふうに考えます。令和2年度予算を執行していく過程の中で,やはり不断に見直しに取り組んでいかなければならないということは,必至だというふうに考えるところです。

 令和2年度予算について,全体に係る部分を述べます。
 今回の予算には,新型コロナウイルスによる影響,景気減速や社会不安,社会経済の混乱というものは想定に入っていないということでしたが,現在の状況を考えると,歳入面では,次年度への影響としてですが,法人,個人,それぞれの市民税の減収が予想されますし,また固定資産税の減収も予想されるところだというふうに考えます。歳出面では,やはり医療費の増額ということは考えられます。そのほか,さまざまな支援策による歳出増も想定されるところです。
 ですから,予算執行の過程では,よりたくさんの課題というものが浮き上がってくることだと思います。それらに対して迅速な対応,特に景気減速による経済・産業面への支援,雇用や収入が減ることなどによる生活不安に対する支援,何より子供たちの教育や福祉の支援に,市の独自施策で機動的な支出を考えていただく,財政出動を行っていただくことや,収束後の出口戦略についても検討し始めていただくことを期待するところです。

 基金の残高について,財政調整基金について,令和2年度予算時点での残額見込み約30億円に対して,法人市民税の予想は約15億円ということで,もしこの金額がなくなったとしても,まだ財政調整基金に余裕があるということが答弁にありました。しかし今後,リーマン・ショック以上の混乱を予想したときに,やはり自治体としても手元に相応の金額がなければ,非常に厳しい状況になるというふうに考えられますので,その点は強く意識を持っていかなければいけないのではないでしょうか。
 公共施設整備基金について,令和2年度で3億9,000万円が繰り入れられ,事業に充てられるわけですが,年度末残高が約6億円の見込みになるということで,令和3年以降は大木中学校の建設であったり,天名地区の公共施設一体整備事業であったり,また学校のほうもいろいろな改修事業ということが山積していることを考えると,やはり将来への不安を感じるところです。

 財政について,打ち出の小づちがあるように,いろいろなことが,事業の実施ということが求められるところですが,打ち出の小づちは実際にはなく,将来の世代からお金を前借りする形になっているのではないか,その意識を持って,私たちは政策に取り組んでいかないといけない。それが,ことしの令和2年度予算で求められているところだというふうに考えます。

 このような中で,持続可能な自治体経営を行うには,やはり地方行政サービスの改革を推進するということは避けられないところだと考えるところです。議案第29号に関連部分がありますが,公民連携による民間との協働の推進により力を入れていく必要があるのではないでしょうか。また,財政運営については,より一層厳しい視点で取り組んで,業務手順の徹底的な見直し,コスト削減に取り組むこと,行政の責任を強く意識していただくことを期待するところです。

 何よりも,社会的なリスクが拡大して課題も多くなってくる状況の中では,やはり若い世代の参画を尊重することが大事だと思います。若い世代が下を向いて生活している中で,このまちが立ち上がっていくことができるかといえば,それはないと思います。その点について,鈴鹿市としてさまざまな手法を用いて,若い世代の参画の上で,市民の皆さんの理解と合意ということを形成していくことを意識していただきたいと思います。
 個別に申します。
 政策経営部についてですが,令和2年度は,先ほども申しましたが,非常に厳しい社会状況が予想されます。市の財政についてバランスをとっていくことは非常に大事なところではありますが,やはり必要に応じて積極的な判断を行うことは求められるところですし,そのためには施策を横断的に捉えて,政策全体として最適な形にしていただくことを期待するところです。公共施設の個別施設計画も策定していくことになりますが,将来に向けて重要な案件については,若い世代の積極的な参加を働きかけていただくことを期待したいと思います。
 財源構成のほうをいろいろ見ている中で,経常的な経費と考えられる事業に対して,すずか応援基金から充当されているものがありました。これでは経常経費に対する一般財源との関係というのがわかりにくくなりますので,経常的にかかる必要な事業については基金を用いることなく,基本的には一般財源で対応していただきたいということを思います。

 総務部について,厳しい社会状況というのは,市民の方々の生活に影響を与えることは間違いないところです。税収にも影響を与えます。そのことを意識して,過去何度も人件費については,私,増額について疑問を呈してきたところですが,今回の予算執行に当たっては,人件費を初めとした人事のあり方について取り組んでいただくことを期待します。

 地域振興部について,地域づくりの取り組みについて,先ほど池上議員の討論にもありましたが,やはり無理があるのではないかということを危惧しております。行政が事業として進めるだけではなく,市民の皆さん,地域づくり協議会の皆さんに負担がかからない視点で,責任意識を持って取り組んでいただくように意見します。
 地域計画や一括交付金などの地域づくり政策を進めるに当たって,行政の責任は重いものです。進めるのであれば,地域づくり協議会とコミュニティ・スクール,地域包括ケアシステム,地域共生社会,地域防災計画などについて,地域の皆さんの主体性に甘えるのではなく,行政として団体自治の中で責任を持って事業を整理し,個別課題の担当部署ということだけではなく,全体として取り組まれることを期待します。

 文化スポーツ部について,改修後の市立体育館の運用が始まり,管理運営について,今後,直営なのか,それとも公民連携を検討するのか議論されることと思います。ただ,同じサービス水準をコストで比較するのではなく,提供されるサービス内容,価値で比較する取り組みを進めていただくことを期待します。ひとつ提案ですが,収益方法について,ただいまネーミングライツだけですが,市立体育館内側の壁面のところに広告スペースを設置し,柔軟性のある広告ができるようにしてはどうかということを意見させていただきます。
 国体推進について,東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まって,三重国体に向けてさまざまな課題が出てくることと思います。非常に大変なことだというふうに思います。ですから,この事業を進めていくに当たって,職員の方々に過大な負担がないよう期待します。

 子ども政策部について,新型コロナウイルス対策として要請された今回の小中学校の休校対応から見えることとして,やはり子供の安心と安全施策というものの脆弱さというものが,鈴鹿だけではなく,国全体でも見えたのではないかと考えます。
 その中で,いろいろな施策間の連携を見直す点が多いこと,またその中で改めて気づかされた部分ですが,このような中で見えなくなってしまう,もともとリスクが高い,そういう子供さんたちへの支援をどうしていくかということを十分に配慮していただきたいと考えます。1つとしては,やはり学童保育ですが,新放課後子ども総合プランに沿った取り組み,学校施設を徹底的に利用することを,教育委員会とともに力を入れて進めていただきたい。指導員の方々の待遇改善にも取り組んでいただくことを期待します。
 第2期鈴鹿市子ども・子育て支援事業計画に,子供の貧困対策が記述されているのですが,その内容はまだまだ不足している部分があると考えます。今年度,そのような課題は表に出てきますから,しっかり取り組んでいただきたいというふうに期待します。

 環境部と危機管理部について,今年度,環境部については,気候変動適応計画の策定に取り組んでいただくことを期待します。特に一般質問の答弁でもありましたが,勉強会,また市民との意見交換会を年度早期に実施していただきたいというふうに考えます。
 危機管理部につきましては,気候変動も危機事案という認識を持っていただき,事前復興の視点を地域防災計画だけではなく,地区別防災計画の中にも取り入れていただくことを期待します。

 都市整備部について,長期的な視点から都市のあり方をどう考えるかが重要です。想定される大規模な災害に,南海トラフ地震だけでなく気象災害も取り入れて,事前復興,早期に復旧できる計画づくり,体制づくりに取り組んでいただくことを期待します。
 公共交通についてですが,新交通システム運行事業費が計上されていて,今も池上議員の討論の中でも取り上げられておりましたが,やはり公民連携の考えを柔軟に取り入れていただくことを意見します。山口副議長が勉強会を開催されていたところに参加させていただきましたが,そこで取り上げられていたシステムなどは,十分に検討に値するものと考えるところです。

 産業振興部について,今後,いろいろな支援策が出されてくる,また必要となるというふうに考えるところですが,その際に,鈴鹿市内での経済循環,お金の循環を十分に意識していただき,市民で地域の経済を支えられる取り組みを期待するところです。

 教育委員会について,学校の休校措置というものは,生徒の心理面に少なからず影響を与えるのではないかと考えるところです。新しい教育内容への対応も重要と考えますが,不安定な社会状況が生徒の心に与える影響について,やはり必要な支援,十分な支援ができるように対応していただくことを期待します。
 議案第26号について,GIGAスクール構想がありますが,今回,小学校5年生・6年生,中学校1年生に機器のほうが配られるという考えですが,厳しい財政状況の中でも教育内容ということですので,ぜひ次年度,中学校2年生・3年生にも対応できるように検討していただきたいということを期待します。
 学童保育に関して,議案第26号の審査の際に,事業結果の精査による減額補正というものがありました。しかし,実際は休校期間中に学童保育は開設されていたわけで,人件費などの課題があります。この部分についてですが,国からの支援がありますが,やはり年度をまたぐ部分もありますので,市として現場の運営に不安がないよう取り組んでいただくことを期待します。
 関連してですが,議案第29号補正予算で繰越明許費というものがありましたが,その部分のところが予備費の利用というところにつながり,このような学童保育の対応がしやすくなったのではないかと考えられるところで,安堵するものです。

 今後,新型コロナウイルスによる影響は,各方面で出てくることになると思います。冒頭でも言いましたが,令和2年度予算執行の過程で見えてくる課題に対しては,市として事前にリスクを想定して,複数の対応手法を検討していただきたいというふうに思います。有事の際,迅速な対応と機動的な取り組みができるよう,重ねて期待するところです。また,私たち市議会についても,何らかの形で対応していくということを考えざるを得ないのではないかと思うところです。

 最後に苦言となりますが,今回の予算審査の過程でも,議員からの質問に対して執行部側の答弁が要領を得ない場面が多く見受けられました。必要な情報やデータはきちんと整理していただき,的を射た答弁をしていただくべきではないでしょうか。
 質問に対する答弁の大変さは,私も事業仕分けの勉強会に参加した際,自分が説明者側に立ったことがあるので,大変だということは十分にわかるところです。だからこそ,このような部分について,令和2年度予算の執行の過程で改善に取り組んでいただくことを期待するというよりも,改善に取り組んでくださいと強く要請します。
 以上をもって,全ての議案に賛成とします。議員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。