2023年6月 代表質問

1 市長の社会環境と自然環境に対する展望について
 (1) 人口減少社会の中で市の人口規模をどのように考えるのか,10年後の鈴鹿市のまちの姿をどのように考えているのか。

 (2) しあわせ環境基本条例の前文を念頭に都市化と自然環境のバランスをどう考えるのか。気候変動の影響と大規模地震災害のリスクに対する考えはどうなっているか。

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○25番(中西大輔君)
 市民の声,中西大輔です。会派を代表して,施政方針について質問します。

 まず,施政方針の冒頭で,コロナ禍の経験を未来への教訓として捉え,新たに見えた課題にも果敢に挑戦していく必要があると痛感したという末松市長の言葉に期待させていただきます。

 私も,1998年,環境基本問題検討委員として鈴鹿市環境基本条例に関する提言まとめに関わり,2005年,第5次総合計画策定に市民委員として参画,2007年,市議会議員として信任をいただき,その後,第5次総合計画の進捗,そして現行の総合計画2023の策定から進捗と完了まで,また,今期は次期総合計画策定と市民視点からの取組に軸足を置いてきた自分自身の思いと行動にも帰するものがあります。

 今回の施政方針について,末松市長にとっては改正後初めての意思表示の機会ということにもなります。施政方針でも触れられておりましたが,今期は次期総合計画策定や都市マスタープランの策定もあり,また,ほかの個別計画も多々改定されるなど,今後,10年程度の指針を作る重要な年と考えます。だからこそ,市長のビジョンを今回お聞きしたいと思います。

 5月22日に総務省統計局から公表された人口推計で,2023年5月1日現在の概算値で,日本の総人口は57万人の減少,2022年12月の確定値で,日本人人口は77万3,000人の減少と公開されています。総人口で言えば,鈴鹿と四日市を足した人口が減少している。
 日本人人口で考えると,北勢5市の人口が減っているという現状は真摯に受け止めるべき課題です。

 また,国立社会保障人口問題研究所が公表した令和5年推計の日本の将来推計人口では,50年後に総人口は現在の約7割になり,うち4割を65歳人口が占めると出ています。
 このような少子高齢化と人口減少が進行する社会の中,10年後の鈴鹿市の姿について,末松市長はどのような考えをお持ちなのでしょうか。その点について,施政方針をお聞きしている中で伺えませんでしたので,今回,質問させていただきます。

 鈴鹿商工会議所からの提言もありましたが,人口30万人を目指し,拡大志向でいくのか,それとも現行の総合計画の20万都市なのか,または緩やかに人口が減少していくことを受け入れ,価値の転換を図り,量の拡大から質の向上に重きを置くなどして定常的な社会を目指すのでしょうか。考え方によって政策の方向性にも影響があると考えますので,考えをお聞きしたいと思います。

 また,自然環境について,幸せ環境基本条例の前文では,個人,都市の活動が環境に影響を与え,全ての生物の持続的な生存に関わる重大な問題となっていることを取り上げ,健康で文化的な生活を営むために必要な安心で良好な環境を享受する権利──環境権ということで表現していますが──を有すると同時に,このような環境を維持し,発展させ,次世代に引き継いでいく義務を有することが記述されています。末松市長は,都市化と自然環境のバランスをどのようにお考えでしょうか。想定される気候変動の影響や大規模地震災害に対するお考えはどのようなものでしょうか。お聞きします。

 せんだって6月2日に第4回鈴鹿市総合計画審議会が開催,そこで基本構想の素案も提示されました。その中,将来都市像について,人がつながり,DXで未来を拓く#最高に住みやすいまち鈴鹿が示されています。4期目のスタートと同時に,今後を見通した新しい総合計画の策定の年となる今回の施政方針について,大項目1として,社会環境の変化や自然環境の変化をどのように考え,10年後の鈴鹿について,どのような将来都市像やビジョンをお持ちで語られたのか,末松市長の考えをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。


○議長(山中智博君) 市長。
               〔市長 末松則子君登壇〕

○市長(末松則子君)
 それでは,市民の声を代表されました中西大輔議員の御質問に答弁申し上げます。
 私は,市長に就任以来,笑顔あふれる鈴鹿の未来づくりを目指し,市政に邁進してまいりました。人口減少が加速する中におきましても,本市が基礎自治体としての体力を維持し,持続可能なまちづくりをしていくためには,人づくりに力を入れていく必要があり,これまでも中学校給食の完全実施や福祉医療費の助成における窓口負担の無料化,学校施設の整備など,様々な子育て支援や教育の施策を進めてきたところでございます。

 さらに,本市は,バランスの取れた産業構造と,海や山をはじめとする豊富な地域資源の下,人口20万人を支える都市機能を有しており,その中で,各地域における住民主体のまちづくりが着実に進められるとともに,幹線道路ネットワークの整備も目に見える形で進むなど,さらに発展していくための十分なポテンシャルがあると考えております。

 今後も,本市の魅力や特徴を余すことなく生かし,また新たな魅力を創造していくことで,本市の持つポテンシャルを最大限に引き出し,都市間競争に打ち勝ち,定住人口や関係人口を獲得してまいりたいと考えております。

 それでは,初めに,人口減少社会における市の人口規模,10年後の鈴鹿市のまちの姿についてでございます。

 本市の住民基本台帳における総人口は,本年5月30日時点で,約19万6,000人となっております。令和2年3月に改定いたしました鈴鹿市人口ビジョンでは,住民基本台帳をベースにした推移などから,10年後の2033年3月末の総人口が,約18万9,000人になると予測されております。より効果的な土地の利用や幹線道路ネットワークを生かした企業誘致を進めるとともに,少子化対策,本市への転入・定住の促進など戦略的な対策を講じるとともに,増加傾向にある外国人市民との多文化共生に対する取組を行うことで,人口20万人都市として,さらなる発展を目指してまいります。

 また,このまま少子化が続くと,人口構造につきましても,生産年齢人口が減少し,65歳以上の人口比率が増加していくものと考えられますが,定住人口や関係人口の拡大に向けた取組と併せて,人口構造の変化に適応したまちづくりを進めることで,行政サービスの維持・向上を図り,誰もが便利で暮らしやすいまちづくりを進めてまいります。

 10年後の本市の姿につきましては,地域においては,人のつながりが生まれ,支え合いによるまちづくりが活発に行われていること,市民の皆様の日常生活においては,市民に寄り添った施策やDXの推進によって快適性や利便性が向上していること,さらに自然と調和した良好な都市環境の下,地域や市外へのネットワークができ,よりスムーズな人・物・情報の流れが実現していること,そして,本市ににぎわいと交流が生まれ,誰もが健やかに自分らしく暮らし続けられる,持続可能なまちが創造されている,このような都市像を思い描いております。

 自然環境につきましては,鈴鹿市しあわせ環境基本計画等に基づく施策を総合的かつ計画的に推進することにより,人と自然だけでなく,人と人とが健全に共生して暮らすことのできる都市化と自然環境のバランスのとれたまちづくりを目指してまいります。

 また,気候変動の影響等に対しましては,新たに策定いたしました鈴鹿市地球温暖化対策実行計画区域施策編に基づき,被害を回避・軽減するための適応策を推進することで対応してまいりたいと考えております。

 持続可能なまちづくりを実現していくために,私自らのリーダーシップの下,力強い行政経営を進めるとともに,議員の皆様をはじめ,市民の皆様の御協力をいただきながら,みんなで一緒にまちづくりをしていくことで,笑顔があふれ,未来に輝く鈴鹿を実現することができると考えております。