2023年 6月 一般質問

1 街並みを活かす施策について
 (1) 観光庁視察結果について
 (2) 空き家対策としての切り口から
 (3) 白子駅東地域での取り組みを

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○25番(中西大輔君)
 おはようございます。議席25番,市民の声中西大輔です。
 冒頭からちょっと緊張するようなことがあって,実際,地震が起こると,恐らく長周期地震動でかなり揺れるんじゃないかなというふうに懸念します。
 議会のほうも,パソコンのほうの導入が進んで,そして行政のほうも導入していただいて,非常に進んできているかなと思うところです。個人的には老眼が進んでますので,この距離で文字が見れるのが非常にありがたいかなと思うところなんですけれども。

 それでは,通告に沿って,町並みを生かす施策を質問させていただきます。
 質問の前にですが,シェイクスピアのジュリアス・シーザーの中,ブルータスの言葉として出ているものを要約しますが,人生には潮目があって,うまく流れに乗れば行き着く先は幸せだ。流れを無視すれば,全ての人生の後悔はみじめにも浅瀬に乗り上げるというものがあると聞きます。私たちが政策を議論し,選択をする際にも,重要な視点ではないでしょうか。

 それでは資料1の映写,お願いします。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 今年4月27日の伊勢新聞の記事なのですが,こちら古民家を宿泊施設にという見出しで,伊賀市の取組が紹介されています。
 遡って2年前,始まりとなる事業について,伊賀市のほうを視察させていただき,その当時の担当職員の方からその後の展開もお聞きしており,今回の報道については着実に政策を進められているということを実感して,うらやましく感じるところでした。

 資料2の映写を。
 こちらは情報公開で取得した鈴鹿市の公文書,歴史的資源を活用した観光まちづくり 観光庁視察結果についてです。内容についてですが,報告担当者が伊賀市の取組を知ったことから,官公庁のアドバイザー派遣事業を活用して,江島と白子エリアについて該当の事業可能性を調査した結果となります。個人名については配慮し,映写上は見えないようにしています。
 この文書を提出されたのは今から約2年前,令和3年1月13日で,報告先は当時の市長と副市長,産業振興部長,地域資源活用課長,観光モータースポーツ振興グループリーダー,地域資源活用グループリーダーとなっています。


 資料3の映写を。
 先ほどの報告書を私なりに要約させていただきました。報告書の内容について端的に言うと,事業可能性は伊賀市よりあるとされています。また,事業に取り組むに当たってのアドバイスも述べられていまして,まちづくり会社やDMCといった官民連携であったり,行政の関与の方向なども示されています。
 ちなみに,DMCというのは,御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが,デスティネーション・マネージメント・カンパニーの略で,JTB総研の表現を借りると,観光物件,自然,食,芸術・芸能,風習,風俗など当該地域にある観光資源に精通し,地域と協同して観光地域づくりを行う会社のこととなります。

 ここで疑問があるのですが,歴史的資源を活用した観光まちづくり 観光庁視察結果についての報告内容を読む限りでは,鈴鹿市にとってプラス面の評価であったり話が多いと考えるのですが,この報告についてですが,当時,どのような評価と判断が行われたのかということをお聞きしたいと思います。
 現在の政策には,この内容が反映されたことはないように思いますので,お聞きしたいと思います。

 また,その過程の中で,私自身もこの内容については,今年5月までは担当課などでは話をしていたものの,やはり新型コロナ禍ということも考慮して,一般質問の場では取り上げてきておりません。ですので,行政のこの途中の取組について非難をするつもりはありませんが,コロナ禍とはいえ,アフターコロナを考えれば,インバウンドの再開を念頭に置いた検討が可能だったと考えるのですが,そのような検討を行われたかどうかも含めて,答弁のほうをお願いします。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(山中智博君) 産業振興部長。
        〔産業振興部長兼農業委員会事務局長 樋口幸人君登壇〕

○産業振興部長兼農業委員会事務局長(樋口幸人君)
 皆様,おはようございます。
 それでは,中西議員御質問の町並みを生かす施策についての1点目,観光庁視察結果について答弁を申し上げます。

 本市では,令和2年度に伊賀市において,空き家対策及び地域活性化のため,中心市街地の複数の空き家を宿泊施設として活用する事業がスタートしたことを受け,翌令和3年1月,観光庁観光資源課の担当者を招き,歴史的資源を活用した観光まちづくりをテーマに,江島・白子エリアを中心に視察を行い,その可能性を探る取組を行いました。

 視察の対象となりました江島・白子エリアは伊勢街道沿いに位置し,また,廻船の港として白子湊を有していたことから,江戸時代以来,多くの旅人や商人等によってにぎわい,市内でも当時の面影が色濃く残っている地域でございます。

 こうした江島・白子エリアの視察の結果,観光庁の担当者によりますと,見た限りで言うと,お店もところどころにあり,地域景観資産に登録はされてはいないものの,昔ながらの建造物でいい物件も多い,白子には空き家を活用したまちづくりを行っている団体が存在し,こうした団体の方々を巻き込んで事業を進めることが想定できるとの報告を受けております。
 このような結果を踏まえ,その後,庁内の関係部署により今後の取組の方向性について協議を行いました。

 当時は新型コロナウイルス感染症の第3波の時期に当たり,収束に向けての目途が立たない中,本市といたしましては感染症拡大防止対策やワクチン接種,経済対策等に一層注力する必要があり,中でも経済対策につきましては,市内経済の活性化を図るため,鈴鹿まるごと応援券すずまるを発行し,事業を展開している期間でありました。
 また,国の新型コロナウイルス感染症対応に関する臨時交付金等を活用して,新型コロナウイルス感染症に対するさらなる連続的な対応が求められる状況でもございました。
 こうした状況を鑑み,総合的に判断して,当時といたしましては,本事業につきまして,具体的に展開する時期ではないとの判断となりました。
 以上でございます。

○議長(山中智博君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕

○25番(中西大輔君)
 答弁のほう,ありがとうございます。答弁の中で,取組の方向性について,庁内の関係部署で協議を行ったとありました。その内容,また中身をまとめると,コロナ禍の状況を総合的に判断,当時としては具体的に展開する時期ではないとの判断を行ったとありました。その判断については,コロナ禍だったからこそ交付金を活用して,地域内の建築物の改築や改修などに取り組み,感染症の影響後のインバウンドはもちろんですが,日本人観光客を受け入れる体制を整備するといった攻めの視点もあったということを意見します。

 その上で,確認させていただきたいのですが,答弁にある協議と判断について,情報公開可能な公文書は存在しているのかどうか,お聞かせください。


○議長(山中智博君) 産業振興部長。

○産業振興部長兼農業委員会事務局長(樋口幸人君)
 それでは,再度の御質問に答弁を申し上げます。
 協議内容につきましては,関係者の間で情報共有を図ったもので,今後の取組に向けた意思決定を行うものではありませんので,文書としては作成しておりません。
 以上でございます。

○議長(山中智博君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕

○25番(中西大輔君)
 存在していないということですが,やはりこのような報告が行われた際というのは,どのような判断が行われたのか,それが分かる文書を残すことはやはり必要なことだと考えます。でなければ,判断の課題などを知ることもできなくなってしまいますから。

 また,報告書を読んでいると,担当者は若い職員ということが見えてきます。そう考えると,できれば今後は,前向きな調査,事業報告であるなら,担当職員に結果の考察や,できれば考えて提案を求めるといったことをしてはどうかと考えるところです。提案からプレゼンまでを求めることは人材育成にもつながるでしょうし,さらにそれが政策につながれば,鈴鹿市にとってマイナスはないはずです。逆に,そのようなことが行われなければ,職員のモチベーションも上がらないのではないでしょうか。
 政策立案と提案に取り組む時間を創出できるような働き方改革も含めて,ぜひ新しい総合計画に取り入れていただくよう期待します。

 それでは,中項目2に移ります。空き家対策としての切り口からお聞きしたいと思います。

 資料4の映写をお願いします。
 こちらのほう,歴史的資源を活用した観光まちづくりから考えたりして抽出して,私が作成したものになりますが,まず空き家対策としての側面,取組手法としての公民連携,町並みに関連して,景観と都市計画からの取組,地域資源の活用と観光の活性化,4つの視点が考えられると思います。
 この事業については,観光庁からも成功事例集というのが公開されていまして,それを見ますと,その中には,過去に同僚議員と視察で訪れた日南市の飫肥地区,尾道市のNPO法人尾空き家再生プロジェクトなど,魅力的な取組がたくさん紹介されています。
 今回の質問では,その後に調査した事例も含めた中から,伊賀市の伊賀上野城下町ホテル,津山市のコンセッション方式による町屋ホテル,京都市の京町屋賃貸モデル事業を紹介していきます。

 資料5の映写をお願いします。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 こちら,伊賀市のホームページから引用して作成させていただきました。
 伊賀市では,伊賀市が所有していた栄楽館というものを改装して,この建物を核にして,城下町内の空き家2軒と合わせてホテル化,市内にある古民家などを活用して全市的に展開していくという考えをお持ちでした。
 先ほどの新聞記事というのは,それを全市的に百五銀行と連携して広げていきますよというものになっております。
 この事業は購買力の高い層を対象としていて,中心は観光客をターゲットにする,次に居住やビジネスを目的とする人たちとなっています。
 事業の中心というのは,株式会社NOTE伊賀上野が担っていまして,開業すぐの時点で現地を訪問させていただきましたが,お話を聞いていると,地元の人材を採用して育成をしていくと,そして地元の人材で運営していくということを大事にする,また,ディナーメニューも見させていただきましたが,地元食材で構成されているなど,魅力的だなと感じたところです。GoToがあれば行きたかったんですけれど,まだ行けていないので,またチャレンジしようかなと思っています。

 資料6の映写を。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 こちらは,岡山県津山市のコンセッション方式による町屋ホテルのものになります。こちらは,視察資料から引用させていただきました。
 ちなみに,津山市はB'zのメンバー,稲葉浩志氏の出身地としても有名です。
 コンセッション方式,公共施設等運営権方式は,PFIの手法のうち,行政が施設の所有権を持ちながら,運営権のみを民間に設定するものとなっています。
 こちらの事業は,同市の城東町並み保存地区内にある旧苅田家付属町家群と呼ばれる町屋4棟を改修して整備,宿泊施設として運営するもので,運営に関しては,本社が津山市内にあるHNA津山というところが行っています。改装に当たっては,インバウンドを意識した改装を行ったというふうにお聞きしました。

 この視察の際に印象的だったことがあるのですが,1つは,説明に対応していただいた津山市の職員の方に,お土産というわけではないんですけど,小さい伊勢型紙を1つお渡ししたところ,非常に喜んでいただきました。何かというと,その方,もともと京都の染屋から出てそちらに住まわれてるということで,伊勢型紙の本物なんですねというふうに喜んでいただきました。そういうことからすると,やっぱり地域資源の大事さということを感じたところですし,このような事業をするに当たって,津山市さんでは,女性の一級建築士さんが実際にそのような建築関係のところで活躍されていたというところが印象的でした。

 資料7の映写をお願いします。
 こちら,京都市のホームページから引用させていただいた京町屋賃貸モデル事業の説明図です。こちらは視察に行ったわけではありませんが,ネットで検索して調べていったところ,行き当たって,鈴鹿市の空き家対策の参考になるのではないか,町並みを生かす取組に活用できるのではと考えました。

 この京町屋賃貸モデル事業というのは,令和2年度から行われていまして,京都市が京町屋所有者から固定資産税及び都市計画税相当額で20年の――これ,1年ごとなんですが,支払う形ですね――範囲内で借り上げ,公募した事業者に同額で転貸し,活用事業者は事業者負担で京町家の活用に当たって必要となるリノベーションや維持管理等を行い,その上で入居者募集を行う形となっています。そして,入居者の方には,将来の京町家の担い手になっていただくという考えの取組です。最近ですと,2つ目の事例に取り組みましたということが公開されております。

 これに着目したのは,景観的にも趣を感じる建築物や町並みを残していく際,空き家や空き店舗などを借り上げる部分に自治体が入るというところで,そのようにすれば,所有者の方や民間事業者との連携というところで,非常にハードルが下がってくるのかなと。その取組を通じて,大きなまちづくりを語らなくても,小さな改修を取り組むことで,町並みを生かす取組が進めやすくなると考えたからです。

 この事業を参考にしながら,鈴鹿も同じように取り組んでいただいてはどうかと考えますが,現時点で,事業可能性についてどのような考えをお持ちなのか,また,課題と考えられる点は何かということをお聞きしたいと思います。

 あわせて,このような取組を進めるには,民間部門に対することも必要になってきます。担い手となる事業者について,市内の事業者やNPOなど,鈴鹿,また,この地域に思いを持つ方の連携で実現できることが一番だと考えますが,場合によっては,他市町事例で見られるような大手事業者との連携なども想定に入ると考えるところです。公民連携の考え方も踏まえながら,答弁のほうをよろしくお願いいたします。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(山中智博君) 都市整備部長。

○都市整備部長(今村隆之君)
 それでは,空き家対策としての切り口からについての御質問に答弁を申し上げます。

 空家等対策の推進に関する特別措置法,いわゆる空家法でございますが,空家の所有者等は,周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう空家の適切な管理に努めると規定されておりまして,空き家は私有財産であり,所有者等自らの責任により適切に維持管理することが大前提でございます。

 一方,市は,空家等対策計画の策定及びこれに基づく空家に関する対策の実施,その他の空家に関する必要な措置を講ずるよう努めると規定されておりますことから,本市におきましては,鈴鹿市空家等対策計画,いわゆる空家計画を平成29年に策定し,空家法及び空家計画に基づき,空き家対策を推進しております。

 その上で,本市におきましては,空き家がもたらす課題解決に向けて,安全安心な住環境の形成と地域活性化を図る観点から,空き家法や空き家計画により総合的かつ計画的な空き家対策を推進しております。

 そこで,まず空き家の実態の把握に努めるとともに,所有者等に対し,建物等の適切な維持管理や財産の適切な継承の重要性等について,周知啓発を図ることで空き家化の抑制に努めております。

 次に,空き家を適切に維持管理することの必要性を周知し,所有者等からの相談に対応することにより利活用を促進していますが,空き家が管理不全状態に陥った場合,所有者等に適正管理について助言しております。さらに,管理不全空き家を空家法に規定する特定空家等と判断した場合には,空家法に基づき指導,勧告などを行うことにより,管理不全状態の解消を促進しているところです。これらの取組により,本市におきましては,所有者等が自らの責任において空き家の解消を目指すこととしております。

 一方,議員御質問の京町家賃貸モデル事業につきましては,京町家の保全・継承に関する様々な取組,京町家を次の世代へ引き継いでいくために,市民,事業者,自治組織,行政など様々な主体が一体となり町並みの保全に取り組もうとする機運の盛り上がりといった背景がございます。

 この事業の手法を本市の空き家対策のツールとして活用するには,地域としてまちづくりを推進していこうとする機運の盛り上がりが必要になると考えます。このことから,本市の空き家対策としましては,この事業を活用することは,現段階におきましては難しいと考えております。

 次に,空き家対策に係る公民連携でございますが,空家計画では,空き家の利活用の促進は官民一体となって取り組むことが有効であり,空き家対策に取り組むためには,関係団体と連携を図るとしておりますことから,本市におきましての空き家バンク制度では,宅地建物取引事業者の団体と連携,空き家無料相談会では,宅地建物取引事業者,建築士,建設事業者等の専門団体と連携を図ることとしており,空き家の利活用や適正管理を総合的に推進しております。さらに,スマートフォンやパソコンから簡単操作で,空き家の解体費用が把握できるシミュレーターを運営する企業と連携協定を締結し,空き家の除却の促進に努めております。

 このように,現在,本市におきましては,空き家の状況に応じ,様々な公民連携を図っており,空き家対策の推進に民間事業者の知識や技術,資源を活用させていただいております。
 また今後,まちづくりに関し,市民・事業者,自治組織,行政など様々な主体が一体となり,町並みの保全に取り組もうとする機運が醸成した場合には,空き家対策を推進するため,関係部局と連携しながら公民連携を図っていきたいと考えておりますので,よろしくお願いします。

○議長(山中智博君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕

○25番(中西大輔君)
 答弁に機運の醸成,盛り上がりという表現を使っていただいておりますが,民間や地域はもちろんなのですが,やはり行政の責任ということも非常に大きな部分じゃないでしょうか。
 熱意は大切だと思います。そのようなものに学生さんも入ってもらって,一緒に考えましょうということをやっていくようなことが機運の盛り上げにも必要だと思いますし,そのような仕掛けをすることは公の意義ということの1つだとも考えます。

 また,もし機が熟した,機運が醸成されたと判断しても,ほかのまち,近隣の自治体と同じような取組がされていれば,二番煎じ,三番煎じになって目新しさとか魅力というのが非常に薄くなるのではないかなと考えます。チャレンジするかどうかという部分が問われているのではないでしょうか。

 それでは,中項目3,白子駅東地域での推進について問いたいと思います。
 中項目1で取り上げた歴史的資源を活用した観光まちづくりについて,対象地域は江島・白子エリアでした。改めて,白子駅東地域での取組として進めていただくべきと考え,鈴鹿市の考えを問いただしたいと思います。

 イメージの話で恐縮なのですが,ここで提案することというのは,例えれば白子駅東地域を花畑にするというようなイメージですね。中項目2で質問させていただいたことは,個々,1つ1つの花が育っていって,それが集まれば自然と花畑になるなるのではないかという視点です。

 この中項目3としての話は,花畑にすることを目標として取り組んでいく,そうして花を増やしていくと。ちょっと鶏か卵かというところの話になりますが,そういうイメージで聞いていただければなと思います。

 資料8の映写お願いします。
 こちら,令和5年度の観光庁の事業として,地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業というものの案内になります。この事業,いいなと思ったのですが,この第2期公募の締め切りがこの6月30日の17時となっていて,この質問で実現することは現実的に非常に厳しいと認識しています。ですが,インバウンドはもちろん,日本人観光客の回復も想定される現在,真剣に検討するべき政策なのではないでしょうか。

 少し下に送っていただいて,事業実施までの流れについて,まず地域公募が行われます。これが今の申込み期間のやつですね。その次,選ばれると,地域計画策定の伴走支援というのが行われ,そして,そのうち伴走支援によってでき上がった地域計画を審査された後に交付申請を行い,事業実施という形になっていて,支援に関してはかなり手厚いのではないかと考えるところです。

 そして,この支援内容,ちょっと細かいところがあるんですけど,大きく言いますと,それぞれ補助率2分の1で,宿泊施設の高付加価値化改修補助で上限1億円,景観改善等に資する廃屋撤去で上限1億円,観光施設の改修で最大2,000万円,面的DX化支援で最大5,000万円,実証実験で1,000万円,公的施設への観光目的での改修支援に2,000万円というメニューになっています。このようなことを鈴鹿市は自主財源で可能なのでしょうか。恐らく,非常に難しいのではないかと考えます。

 来年度もこの事業が継続されることを期待しますが,ただ,公募要件に宿泊事業者を含む5社以上の事業者が事業を実施すること,自治体の場合は,さらに計画の対象地域に所在し,補助事業を実施することが見込まれる民間事業者・団体を示す必要があるとあります。このように考えると,鈴鹿市がこの補助事業を活用していくことを考えるには,やはり空き家活用などに関する民間事業者や団体の存在というのが必要になってくると考えられます。ですから,中項目2で,空き家対策の切り口から鈴鹿市の考えを問いました。公民連携,民間事業者の育成ということを問いました。
 また,歴史的観光まちづくりの部分でもありましたが,地域資源観光の部分も重要になってきます。

 白子駅東地域には,御存じのように,伊勢型紙という地域資源があります。匠の里では,エリアとして取組をされていたりしますし,またNPOとして型紙のことについて取り組まれている方もいらっしゃいます。コロナ禍前には,型彫り体験と宿泊を組み合わせて事業を行っていた若い世代の方もいらっしゃいました。

 その当時,話をしていて,外国人の方々はビジネスホテルに泊まりたいのではなくて,日本を感じられるところに宿泊を希望しているということをお聞きしました。
 そのように考えていくと,鈴鹿市というのはどれだけ地域資源を磨いてきているのか,それがどれだけ実績につながってきているのかというところも考えざるを得ません。

 今年4月,それと子安観音にちょっと参拝しに行ったんですね。その際,戌の日マルシェというのが行われていまして,白子駅東でカフェを経営されていた方と少しお話をさせていただくと,その方,事情もあって四日市のほうに移転されるということでしたが,白子駅東地域で宿泊を営めるところがあったらというふうな話もされていました。また,コロナ禍も過ぎることから,インバウンドを意識して鈴鹿に戻ろうかという人もいらっしゃること,そういうことを考える地域の可能性を感じる話を聞かせていただきました。

 そこで,白子駅東地域での取組として,地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業を活用してぜひ取り組んでいただきたいと考えるんですが,町並みの活用はもちろん,伊勢型紙などの地域資源の活用,鈴鹿サーキットへの東の玄関口としての観点も踏まえながら,鈴鹿市としてどのような見解を持つのか,評価も含めてお聞かせください。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(山中智博君) 産業振興部長。

○産業振興部長兼農業委員会事務局長(樋口幸人君)
 それでは,白子駅東地域での取組をについて,観光の分野について答弁を申し上げます。

 本市では,市内に製造業が多く立地し,市外・県外から出張などの目的で来訪するビジネス客が多いという特徴に着目し,ビジネスの合間や前後の時間を観光の機会と捉えるブレジャーの取組を鈴鹿市観光協会とともに進めているところでございます。
 本取組では,駅やホテル,飲食店などが多く立地し,ビジネス客の来訪が多い白子,神戸,平田の3つのエリアを拠点として,本市最大の地域資源であるモータースポーツゆかりの場所はもとより,歴史や文化,産業,食などにフォーカスし,ビジネスのすきま時間を利用して,1時間程度で散策できるモデルコースを掲載したマップを作成しております。

 このうち,白子のマップにつきましては,伊勢街道沿いに残る伊勢型紙資料館をはじめ,江戸時代の面影が残る町並みや歴史を重ねた和菓子屋等,歴史や文化,食やお土産品など,テーマに沿った複数の周遊ルートを紹介し,御当地ならではの情報を盛り込むことで,来訪者の方々に白子駅東地区の町並みを楽しんでいただける内容にしております。
 こちらのマップにつきましては,ホテルや飲食店などでの配布のみならず,QRコードを掲載し,ダウンロードもできることから,ビジネスシーンだけではなく,様々な観光シーンで御利用いただけるようになっております。

 また,白子地区につきましては,本市の伝統的工芸品である伊勢型紙の職人が日常的に作業をする風景が現在も残っております。こうした日常に根づく伊勢型紙の技術に触れるべく,来訪者にも体験していただく体験彫りや体験染めを鈴鹿市伝統産業会館や,毎年秋に開催される伊勢型紙フェスタ匠の里といった機会を通して行っております。

 アフターコロナの下,マップの活用はもとより,鈴鹿墨や伊勢型紙といった伝統産業に触れる機会の拡大等,本市といたしましても,白子駅東地域での町並みを生かす観光面での施策について,関係部署と連携をとり,改めて関連団体をはじめとした多くの皆様の声を聴きながら,検討してまいりたいと考えておりますので,御理解賜りますようお願いいたします。

○議長(山中智博君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕

○25番(中西大輔君)
 産業・観光面のほうでは取り組んでいただける気配がありますので,次の論点のほうを問いたいと思います。

 このような事業を進めていくに当たっては,白子駅東地域という町並みを生かすということですから,やはり景観であったり都市計画ということが外せません。都市マスタープランと鈴鹿市景観計画の改定も今年行われるわけですが,現行の景観計画の目標の中でも,住みやすいまち,住んでみたいまち,訪れてみたいまちを創造する景観づくりが示されていて,やはりこのような方向性というのは大切だというふうに考えます。
 また,国土交通省からは,居心地が良く歩きたくなるまちとして,ウォーカブルなまちづくりも提唱されていまして,今後,歩くことを大切にした都市の在り方も鈴鹿市にとって大切な視点となるでしょう。

 四日市市でも,駅前の取組でこの考え方が示されていますが,どうでしょうか。

 せんだって名古屋で,既成市街地におけるウォーカブルなまちづくりと題した勉強会があって,講師のほうは千葉大学准教授の松浦健治郎先生が登壇されていました。先生が三重大学にいらっしゃったとき,白子駅東地域を学生のフィールドワークのテーマにされていらっしゃいまして,その発表会も聞きに行った経験があります。

 地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業を考える際には,景観計画などとの整合性やウォーカブルなまちづくり,大学など高等教育機関との連携,教授だけでなく学生との連携も重要な点と考えますが,鈴鹿市はどのような考えをお持ちでしょうか。

 資料9の映写を。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 こちら,輪島カブーレのホームページから引用させていただきました。こちらのほうも,鈴鹿の風で視察に行って,まだ事業が始まる前に行かせていただきました。
 輪島カブーレは,輪島市中心部に点在する空き家や空き地を利活用して,地域に暮らす全ての人たちの強制拠点として,内閣府まち・ひと・しごと創生本部が全国に先駆けて採択した事業になっています。

 こちらのコンセプトは,ごちゃまぜで街づくりとして,観光という視点だけではなくて,高齢者デイサービスや障害者向け短期入居住宅など,いろいろなものが混ざって点在したものになっています。地域資源としての輪島塗などもあることを考えれば,鈴鹿市にも参考になるのではないかと考えます。

 このような視点を持って,白子駅東地域での取組を考えることができれば,市民にも観光客にも多くの人にとって価値のあるものと考えます。うまく軌道に乗れば,それを鈴鹿市内に展開していくことも考えられると思いますが,次期総合計画の事業として,白子駅東地域で町並みを生かすという施策を記載していただいてはどうかと考えますが,見解をお聞きしたいと思います。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(山中智博君) 都市整備部長。

○都市整備部長(今村隆之君)
 それでは,白子駅東地域での取組についての御質問に答弁を申し上げます。

 本市では,都市計画の基本的な方針として,現行,鈴鹿市都市マスタープランを平成28年4月に定め運用しています。現行の鈴鹿市都市マスタープランには,基本理念から将来都市構造を設定し,これを具現化するために5つのテーマ別都市づくりの方針を重ね合わせて土地利用方針を定めております。

 テーマ別都市づくりの方針の1つである水と緑,景観の都市づくりのテーマで,地域資源を生かした良好な景観形成を掲げており,この方針を実現するための具体的な方策としまして,伊勢街道などの旧街道沿いの歴史的町並み及び市内の文化財や歴史的な建築物等を保全・活用した景観形成を推進しますと掲げ,都市づくりを進めております。
 また,白子駅東地域は,主に商業地域と第一種住居地域の用途指定を行い,用途に適した建築物が建築されるよう都市づくりを行ってまいりました。

 議員御質問の空き家を活用した店舗や旅館による交流機能の充実が白子駅東地域において進むことは,用途規制にも適合しておりますし,歴史的建造物を保全・活用した景観形成であると考えることから,鈴鹿市都市マスタープランにも適合していると考えます。

 このような歴史的建造物を活用した取組等が進む際に,適正な保全・活用となるよう,良好な景観の保全・創出に向けた基本的な方針を定め,良好な景観を阻害する建築物の建築などの行為を制限するとともに,市民による主体的な景観づくりを支援するため,鈴鹿市景観計画を策定しております。

 この計画では,景観を阻害する建築物の建築などの行為を制限するだけではなく,地域の景観を守り,育て,創り出していく活動は,行政が主体的に行うのではなく,市民の皆さんが自ら取り組む景観づくりとして展開されていくことが望ましいことから,行政は,そうした景観づくりを支援していく体制を整える必要があるとしております。

 地域の身近に残っている景観資源も,鈴鹿らしい景観を形成する重要な要素として,地域の魅力向上の役割の一翼を担っていると考え,歴史的建造物の保全・活用の支援として,平成29年4月1日に鈴鹿市地域景観資産の登録及び認定に関する要綱を施行し,一定の地域における景観の形成上,歴史的または文化的価値がある建造物・工作物・樹木を登録地域景観資産あるいは認定地域景観資産として位置づけて,保全・活用のための技術的援助等を行い,地域の身近な景観資源の保全・活用に努めています。

 この制度の普及啓発を進めていることから,現在,白子駅東地域において,登録地域景観資産として8棟の建築物が市民の皆さんから提案され,登録に至っており,歴史的建造物の保全・活用の支援が図れていると考えております。
 少しずつではございますが,鈴鹿市都市マスタープランや鈴鹿市景観計画に基づき,市民の皆様とともに地域資源を活用した良好な景観形成に向けて取り組んでいる状況でございます。

 また,鈴鹿市都市マスタープラン及び鈴鹿市景観計画の計画期間が令和5年度末をもちまして終了することから,現在,改定作業を行っており,この改定作業の一環として,まちづくりワークショップを高校生,大学生,49歳までの社会人の方を対象として募集したところ,8名の方に参加していただき,2日間にわたりワークショップを行いました。ワークショップには,アドバイザーとして市内の建築士の方にも参加していただき,2グループに分かれてまちづくりについて意見交換を行ったところ,1グループから白子駅の活性化として,伝統産業会館,伊勢型紙資料館及び伊勢街道といった観光資源を活用したまち歩きによるプランの提案がありました。このように若者世代からも白子駅に着目したまちづくりの提案がなされていることや,国土交通省の都市づくりの説明の中に居心地がよく歩きたくなる町なかや歩いて暮らせるまちづくりが掲げられていることなどを踏まえ,引き続き地域資源を活用した良好な景観形成が図られるように検討を行ってまいりますので,御理解いただきますよう,よろしくお願いします。

○議長(山中智博君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕

○25番(中西大輔君)
 ありがとうございます。最後に,ここまでの内容について,末松市長の感想,見解をお聞きしたいと思います。お願いします。


○議長(山中智博君) 市長。

○市長(末松則子君)
 それでは,中西議員の御質問に答弁を申し上げます。
 白子駅東地域では,大変様々な可能性を持っている地域であるというふうに認識をいたしております。

 この町並みを生かす施策につきましては,議員御指摘のとおり,地域資源,観光,景観,また都市計画や空き家対策,公民連携など,様々な切り口からのアプローチを組み合わせて事業を展開する必要があると考えております。

 本年度,産業振興部商業観光政策課というふうに課の名前も改めさせていただきながら,商業地域,また観光にもしっかりと取組を進めようというような中で,今,動き始めているところでございます。

 先ほど産業振興部長,また都市整備部長が答弁いたしましたように,関係部署,しっかりと行政の中でも連携を図らせていただきながら,この取組についてもスタートさせてまいりたいと思っております。

 何よりも地元地域の皆様方の盛り上がりや熱意も必要でございますので,そういったことも含め,多くの皆様の声を聞きながら,こういった取組にしっかりと関心を持ちながら進めていきたいというふうに考えております。
 これからもいろいろな御提案を賜れればというふうに思っておりますので,よろしくお願いいたします。

○議長(山中智博君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕

○25番(中西大輔君)
 ありがとうございます。今年度からの末松市長の国の制度を活用した取組を進められることを期待して,私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。