2023年 2月 一般質問

3 都市計画と公共交通
 (1) 地域共生社会から考える

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○17番(中西大輔君)
 それでは,大項目の3,都市計画と公共交通をお聞きしたいと思います。
 令和5年度予算では,西部と南部とを合わせたC−BUS事業費は1億7,633万6,000円,それに投入される一般財源は1億4,178万9,000円となっています。つまり,約3,500万円が運賃と広告収入というふうに考えられている予算立てとなっています。

 この件についてですが,いろいろな考えをお持ちの方がいらっしゃるという前提でお話をさせていただくと,このままの状況で,市内全域での移動ニーズに対して,持続的に財源を配分できるかと考えると,発想の大きな転換というものが必要になってくると私は考えます。

 それに関してですが,少し前に,鈴鹿市民によるチョイソコの取組が新聞で報道されていました。関わる市民の方々の熱意に頭が下がりますし,同時に,ここに至るまでの行政の動きについて少し苦言を呈させていただきます。

 今から約3年前,山口議員の主導で,担当課職員対象にチョイソコの勉強会が行われ,それに参加させていただいた経験があります。もしその時点で,鈴鹿市で試験的な取組が行われていたら,現在,市民の方はもちろんですが,行政にも価値があったことと考えます。柔軟な考えと先駆的な取組にちゅうちょしない,そのような鈴鹿市であるべきだと私は考えます。

 このような公共交通についてですが,私も含めて,これまで多くの議員の方々が公共交通を論点に登壇されていらっしゃいます。それらは,高齢化や免許返納に伴う個人の困り事への対応という視点から,移動手段や手法に着目されたものが多かったように思います。ですが,そこで問われている課題の本質を考えると,買い物であったり,医療機関への通院などに対する困難といった生活に関連することだというふうに考えます。

 そこでですが,このような状況というのは突然生まれたわけではなく,高度経済成長以降,特に地方都市では車社会の中で生活をしてきたことで,身近な生活環境が変化したためであって,これまでのいろいろな選択の結果だということを忘れてはいけないように思います。そう考えると,移動の面だけではなく,改めて身近な地域で生活するという視点からも公共交通を考えることが大切で,そのことは地域共生社会にも重なっていると私は考えます。

 現行の都市マスタープランでは,鉄道駅やバス停などからの距離を円で表現し,交通空白地域を設定して考えられたものとなっています。そこで,その点について,身近な地域で生活するという視点から,同様の発想で,食料品などを手に入れることができる商店や商業施設,診療内容を考慮した医療機関などについて,それらを中心にした徒歩や自転車での移動を考えた,円で示した地図を作成して,買い物空白地域や医療空白地域といった視点を加えて考えてはいかがかということを提案したいと思います。さらに,そこに金融機関やキャッシュコーナーなども加えれば,さらに身近な地域の生活と交通の関係が考えやすくなると思います。

 それらと地域づくり協議会,8つの包括支援センターなどの地図を基礎にしながら,今,申しましたように,買い物空白地域や医療空白地域,金融機関空白地域の地図など複数の地図を重ね合わせる──レイヤーで重ねると言いますが──重ね合わせながら,公共交通の在り方を行政主導ではなく,市民の皆さんと一緒に考えていただく,検討していただくことがこれからの課題かと思います。

 地図に関しては,グーグルマップを活用したり,鈴鹿市の持っている地図情報システムで十分可能かと考えます。つまり,今,移動という面からだけではなく,身近な住まう地域の居住価値という観点から,都市の在り方や地域の在り方を検討する,つまり都市計画とそれらをネットワークでつなげる公共交通を考えてはどうかということです。

 検討過程の中では,ほかにも医療機関や福祉施設が所有する車両を有効活用できるようにしてはどうかであったり,相乗りもできるようになったタクシー事業者からの提案を受けることや,または新規の事業化提案を受け付けるなど,公民連携にも柔軟に取り組むことが持続可能な地域づくりに意味があることだというふうに考えます。
 身近な地域で生活することを起点に,地域共生社会の観点から公共交通を考えることは,次期総合計画と地域福祉計画の策定でも重要と考えます。都市計画課が中心となって地域協働課や長寿社会課などと連携して,提案させていただいたような地図を基に検討することが可能かどうか,現在の考えをお聞きしたいと思います。

○議長(宮木 健君) 都市整備部長。
             〔都市整備部長 今村隆之君登壇〕

○都市整備部長(今村隆之君)
 それでは,中西議員御質問の都市計画と公共交通のうち,地域共生社会から考えるにつきまして答弁申し上げます。

 本市の土地利用の方針を明確にするため,鈴鹿市総合計画2023や三重県が定めております三重県都市計画区域マスタープランを上位計画としまして,都市計画法に基づき,本市の都市計画に関する基本的な方針としまして,鈴鹿市都市マスタープランを策定しております。

 平成28年度から運用しております鈴鹿市都市マスタープランでは,5つのテーマと視点により都市づくりの方針を定めておりまして,テーマの1つであるコンパクトで住みよい都市づくりにおいて,コンパクトな都市を形成する中で,生活サービスが効率的に提供されるように医療,福祉,商業施設等を集約し,身近な生活利便施設の維持,充実を図ることを定めております。

 また,モビリティーの高い都市づくりのテーマでは,都市拠点において,商業施設,医療施設,公共公益施設等の主要施設の利便性向上につながる公共交通手段の確保について検討することとしております。

 議員御質問の身近な地域における生活に伴う課題につきましては,鈴鹿市まちづくり基本条例に示す市民参加や協働による働きかけが必要であると考え,今後も市民の皆さんとともに身近な地域での生活形態に応じて検討を重ね,生活サービスが効率的に提供できる都市づくりに努めてまいります。

 また,国は,人口減少及び高齢化社会に適応するため,居住や都市の生活を支える機能誘導によるコンパクトなまちづくりと公共交通の再編との連携によりコンパクトシティ・プラス・ネットワークのまちづくりを進めています。このことから,現在,見直しを進めております鈴鹿市都市マスタープランの改定作業においても,コンパクトな都市間をつなぐ移動手段について,令和4年6月に策定いたしました鈴鹿市地域公共交通計画に基づき検討してまいります。

 本計画では,地域公共交通の将来像を行政・事業者・地域のみんなで利便性の高い地域公共交通を使い,つくり,守り育てるとし,将来像の実現に向けた方針,施策を位置づけております。現状の地域公共交通ネットワークの維持を基本方針の1つとして,社会情勢やニーズを踏まえて,路線バスやC−BUSの利便性向上や路線再編等に取り組み,持続可能な地域公共交通ネットワークの形成を目指していくこととしております。

 基本方針の2つ目として,既存の地域公共交通での対応が難しい移動ニーズに応えていくために,地域の実態やニーズに応じて適切な手段を検討し,支援していくことで,多様な移動ニーズに対応した地域公共交通を確保することを目指していくこととしております。

 議員御提案の商店や商業施設,医療機関の立地状況やサービス内容を整理した地図を活用した地域公共交通の在り方検討につきましては,次の2つのケースが考えられます。

 1点目は,路線バスやC−BUSの利便性向上や路線再編等の協議の場での活用,2点目が,市内の公共交通空白地域や土地に高低差がある地域,高齢化が進む地域等において,既存の地域公共交通で移動ニーズに応えることが困難な場合に,地域が主体となって新たな移動手段を検討する協議の場での活用でございます。どちらのケースであっても,移動に関するニーズの深掘りや必要なサービスを検討する際に有効に活用できると考えておりますことから,地域の皆さんとともに,それぞれの地域の実情などに応じまして,必要な情報を資料として準備してまいりたいと考えております。

 また,市民の皆様との地域公共交通の在り方検討の協議におきましては,地域における移動に関する課題や必要とするサービス等をより詳細まで把握することができます。ついては,協議を経て明らかとなった課題や移動ニーズについては,交通事業者をはじめとする多様な関係者で構成されます鈴鹿市地域公共交通会議において情報提供を行い,既存の地域公共交通で対応が可能か十分に検討を行い,新たな移動手段が必要と判断される場合には,地域の輸送資源の活用や共助の取組を検討する,そういったプロセスが重要であると考えます。

 人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響,公共交通機関における運転手不足等,地域公共交通を取り巻く環境は,厳しい状況にございますので,今後につきましては,行政,交通事業者,地域の皆様をはじめとする多様な関係者が連携し,新たな移動手段の確保や新たなサービスの提供等を検討していく必要がございます。このことを踏まえまして,地域の皆様との意見交換等を積極的に行いまして,実態・ニーズ把握に努め,地域の移動に関する課題の解決が事業者にとってビジネスチャンスとして,そういった形で捉えていただくためにも,関係者間の情報共有や連携をさらに強化してまいりたいと考えておりますので,御理解賜りますようお願い申し上げます。

○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。
              〔17番 中西大輔君登壇〕


○17番(中西大輔君)
 ありがとうございます。基本線にしっかり取り組んでいただけるということは今の答弁で分かったわけですが,ただ,困り事を抱えている方にとっては,やっぱり1年,2年という時間というのは長く感じるものですので,その点,やはり今できることからチャレンジしていただく,取り組んでいただくということで,困り事は解消していただくように,それはそれとしてやっていただく。そして,全体的に,長期的なビジョンからは交通そのもの全体を今のような地図の上から考えて,整理して,あと10年,20年後の鈴鹿市を検討していただきたいと思います。

 それに関してなんですけれども,JBpressという情報サイトで2月25日に公開された記事があるんですけれども,その中で,森 雅志さんかな,前富山市長さんの言葉があるんです。そこでおっしゃられていることは何かというと,市民の生活の質を上げるためにやると考えれば,交通だけを切り取ってB/C(費用便益比)の議論をするのはナンセンスです。市民のライフスタイルを軸に置けば,さまざまな発想と可能性が出てくると思いますとありました。この点の議論を,行政だけではなくて,市民の方々,いろいろな方を巻き込んで議論していただいて,都市計画と公共交通の課題に取り組んでいただくことを期待します。