2021年 9月(一般質問)
1. 都市マスタープラン改定に向けて
 (1) 災害被害抑制を重要内容に
  @ 気候変動の影響を念頭に
  A 事前復興の視点を取り入れる
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○17番(中西大輔君)
 議席17,市民の声,中西大輔です。
 通告に沿って一般質問を行います。簡潔で聞き取りやすく分かりやすい答弁をお願いしたいと思います。
 今年も気象災害は,日本各地,広い範囲で発生しています。被災され,お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りしますし,また,被災された方々の一日も早い生活再建を切に願うところです。

 それでは,大項目の1つ目,都市マスタープラン改定に向けてをお聞きします。
 論点は,都市マスタープラン改定前ということと,豪雨災害や台風災害のリスクが高まってくる時期ということもありますから,気候変動を念頭に置くことと,事前復興の視点を取り入れることを取り上げたいと思います。
 気候変動への適応は,現在の大きな課題であり,将来の都市の在り方を検討するために,念頭に置く必要に迫られています。

 8月26日に開催された第1回都市計画審議会小委員会でも,委員である東京大学の村山准教授が,気候変動を取り上げられていました。
 IPCC・国連の気候変動に関する政府間パネルが8月9日に公表した報告では,これまでの予測より10年ほど早く,2040年までに1.5度の気温上昇が起こる可能性が非常に高いとされ,このように上昇すれば,これまで以上に広い地域で極端な気象現象の増加が予想されるところです。

 その気候変動の影響について,特に海岸線に着目します。検討していくには,想定外をなくすことが必要で,伊勢湾に面している鈴鹿市にとって現在の浸水想定はもちろんですが,過去の海岸線がどうだったかということを考えることは,重要だというふうに思います。
 そこで調べると,過去の海岸線について縄文海進と平安海進という形で,今より海が内陸のほうに入っていた時期があります。これから提示する資料は,国土地理院地図ベクトルを利用して作成した縄文海進と平安海進のイメージです。

 資料1の映写をお願いします。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 縄文海進は,約6000年前にピークだったと言われ,今より気温は1度から2度高く,海水面は現在よりも約5メートル高かったそうです。こちらの資料,縄文海進のイメージですが,青のエリアは標高5メートル以下を表示していて,海ではなかったかなと想定できます。黄色以降は,陸地だったと考えられます。

 資料2の映写をお願いします。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 こちらは平安海進をイメージしたものです。
 平安海進は,8世紀から12世紀頃,平安時代に起こった現象で,この間に海岸線,海の高さというのは上がったり下がったりしながら,12世紀初めには,現在より海水面が約50センチメートル高かったというふうな研究があるそうです。
 そこで,この地図は,埋立ての影響なども考慮に入れて,標高2メートル以下を青のエリアにさせていただいています。
                〔資料の提示を終了〕
 これらを参考にしながら,鈴鹿市がホームページで公開している遺跡地図を見ると,平安海進と重なるように,黄色のエリアには遺跡が見られます。

 一方,見つかっていないものがあるかもしれませんが,青のエリアには,遺跡は見当たらず,海進の影響があったのではないかということが想定できます。つまり,今世紀末,最大約1メートルの海水面上昇が予想されるということは,平安海進の状況と近くなるのではないかと想定できるということではないでしょうか。
 このような海水面の上昇は,河川の排水機能に影響を与えますし,砂浜の消失などとも併せて,堤防に与えるストレスが大きくなり,災害を抑えるために構造物だけで対処できる範囲というものは超えてくるのではないでしょうか。

 このことから,海水面上昇を想定した気象災害の備えを念頭に,将来の居住エリアや都市拠点,都市構造を検討してはどうかと考えます。実際に,国土交通省の総力戦で挑む防災減災プロジェクトの10の主要施策には反映されているところです。

 以上,都市マスタープランはもちろん,次期総合計画や,これまで策定してきている防災関連計画,検討されているだろう気候変動適応計画などに,気候変動の影響と適応の考えを反映させることが重要と考えます。次期都市マスタープラン策定の議論の中で,気候変動への適応を明確に位置づけることは可能か,お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

○議長(森 雅之君) 都市整備部長。
 
○都市整備部長(今村隆之君)
 それでは,議員御質問の災害被害抑制を重要内容にのうち,気候変動の影響を念頭についてにつきまして,答弁を申し上げます。

 平成28年度から運用しております鈴鹿市都市マスタープランでは,テーマ別都市づくりの方針の1つに,防災・減災の都市づくりを挙げ,その中で,市民生活の安全安心の確保に向けて,南海トラフ等による地震・津波や,気候変動の影響と考えられる集中豪雨,土砂災害など,様々な災害に対応するとして都市づくりを進めております。

 しかしながら,近年,毎年のように日本各地でこれまでに経験したことのないような豪雨により,深刻な水害や土砂災害が発生しており,本市としましても気候変動の影響による海水面の上昇に伴う様々な災害も,重要な観点であると認識しております。

 このような中,鈴鹿市都市マスタープランの上位計画でもあります三重県の都市計画区域マスタープランが,令和3年2月に改定されました。今回の改定におきまして,本市としましても,災害リスクの高い場所では,用途を考慮した都市的土地利用の抑制や建築物の構造規制を行うほか,災害リスクの低い場所への都市機能や居住の移転を進めるなど,大規模自然災害による被害の低減に向けて都市構造の再編を検討しますと記載されていることを踏まえまして,現行の鈴鹿市都市マスタープランの全面改定に向けた総括等を行う際には,国・県などの関係機関の動向も注視しまして,様々な情報の収集に努め,鈴鹿市都市計画審議会等,有識者の皆様の御意見もお聞きしながら,大規模自然災害による被害の低減に向けた検討を進めていきたいと考えておりますので,よろしくお願いします。

○議長(森 雅之君) 中西大輔議員。

 
○17番(中西大輔君)
 ありがとうございます。今進めていただけるということなので期待しております。
 ただ,これを進めていくに当たっては,行政が一方的に決めて,住民の方に受け入れてくれということではなくて,リスクコミュニケーションを住民の方と取っていただいて,進めていくことが大事だというふうに考えます。
 そのときに大事な視点になるかとは思いますが,事前復興の視点ということについてお聞きしたいと思います。

 近年の被災状況から,自然災害による被害というものは繰り返される可能性が高く,今後しなやかにそのような被害から立ち直れるか,立ち直れるまちづくりやリスクから長期的に遠ざかる考えが重要と考えるところです。そのとき,災害が発生したときのことを想定して,どう復旧・復興していくかだけではなく,被害の最小化につながる都市計画やまちづくりを推進する考えである事前復興は,重要な視点になると考えます。

 国土交通省が開いている事前復興の研修に,関係課の皆さんは参加されていると思いますが,これまでの研修と,そこで得られた知見,それを踏まえた都市整備部の考えを簡潔にお答えください。
 また,事前復興は,地区別防災計画策定にも重要な視点と考えます。その上で,次期都市マスタープラン策定に当たって,事前復興を踏まえた検討も必要になってくると考えるところですが,その点についても都市整備部の考えと,次期マスタープラン検討の重要な要素に取り上げることは可能か,お聞かせください。よろしくお願いします。

○議長(森 雅之君) 都市整備部長。

○都市整備部長(今村隆之君)
 それでは,議員御質問の事前復興の視点を取り入れるにつきまして,答弁を申し上げます。

 事前復興に関係する研修で,都市計画課として参加いたしました主な研修でございますけれども,平成30年度から三重県県土整備部都市政策課と三重大学みえ防災・減災センターが共催しております事前復興都市計画研修会や,国土交通省が主催いたします復旧・復興まちづくりサポーター制度連絡会議などになります。

 参加いたしました研修におきまして,復旧・復興の実務事例として,経験者から被災地における堆積土砂排除事業の進め方であったり,注意点,事前検討箇所等の説明を受けて知見を広げたり,復興まちづくりのための事前準備として,先進地におけます復興まちづくり計画の事例紹介により,計画策定に向けて必要となる過程や留意点及び,その後の訓練方法について理解を深めたりしております。

 議員の御質問にありましたように,現在,市内各地区の地域づくり協議会で順次進めております地区別防災計画策定の際には,復興まちづくりのための事前準備ガイドラインに記載されております過去の災害復興の勉強会等を開催し,復興事前準備の必要性や復興まちづくりの課題を認識していただけるような働きかけについては,非常に重要な観点であると認識しております。

 このことから,鈴鹿市都市マスタープランの全面改定に向けた検討を行う際には,鈴鹿市地域防災計画等を踏まえ,市民の皆様の御意見をはじめ,鈴鹿市都市計画審議会等,有識者の皆様の御意見もお聞きいたしまして,次期都市マスタープランの改定を進めていきたいと考えておりますので,よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。

○議長(森 雅之君) 中西大輔議員。

 
○17番(中西大輔君)
 ありがとうございます。さきの小委員会のほうを傍聴させていただきましたら,気候変動の適応だけではなくて,カーボンニュートラルへの対応をどうするのかであったり,次の時代に向けた交通の在り方も考えるべきではないかであったり,高速道路を街道と考えた西部地域の検討,若い世代の積極的な参画などと,委員の方から非常に参考になる御意見が活発に出ていました。
 50年先に向けた検討も含めて,とは言っても災害が起こると,すぐ身近なことになりますから,ぜひ今から考えを反映して,取り組んでいただくことを期待して,この内容については終わります。