2018年 3月(一般質問)
A「子ども食堂について」

 (1)地域共生の考えを活かせるか

 それでは,1つ目の質問は以上で終わりまして,2つ目のほうに移りたいと思います。子ども食堂のほうに移らせていただきます。

 子ども食堂の考えを整理してはどうですかということが,今回の質問の内容になるんですけれども,私は,鈴鹿市では子ども食堂は貧困対策として考えるのではなくて,やはり子供を中心とした居場所事業として考えるほうがいいというふうに考えております。

 その考え方についてなんですけれども,2016年に,現在,法政大学教授の湯浅 誠氏が,「こども食堂」の混乱,誤解,戸惑いを整理し,今後の展望を開くという記事で整理されている部分があります。そこで,縦軸のほうにケースワーク型と地域づくり型,それと貧困対策型と共生型という形で,4つに縦軸・横軸で区切ったところがあります。地域づくり型と共生型のところに共生食堂というのがあるんですけれども,私は,鈴鹿市にはこれが当てはまるのかな,一番いいのかなというふうに考えるところです。

 また昨年ですけど,地域共生社会についての一般質問を行わせていただきました。そこで述べさせていただきましたのは,小学校区をその基礎としてはいかがですかということを提案させていただいております。
 私は,子ども食堂というは,先ほど言いましたように,居場所事業と考えれば,地域共生社会の流れにあると考えます。ですので,鈴鹿市で子ども食堂の展開を行っていくことを検討するとき,小学校区で進めてはどうかというふうに考えるわけです。
 資料7の映写を。
  〔資料をスクリーンに示す〕
 こちら,明石市の取り組み,簡単なものですけれども引用させていただいております。
 そこで,私も,子供政策への取り組みで現在注目されている自治体として,兵庫県明石市の子ども食堂事業を学ばせていただきました。

 明石市のほうでは,総合計画のほうで小学校区が地域の単位とされています。その上で,各学校区に子ども食堂を展開していくんだということを明石市では行われているわけですけれども,その考え方というのはどういうものかということですが,全ての子供さんが対象になりますよと。地域での見守りの場所にもなる。児童相談所など行政機関との連携もする。家から歩いていけるところである。食事だけでなく,学びや遊びも提供できる。そして支援が必要な子供の早期発見という考えのもとに,子供が感じる不安や心配を早期に把握し,必要な支援につなげる気づきの拠点とされています。
                〔資料の提示を終了〕
 このことについては,以前,地域福祉委員会のほうで足立区さんのほう,取り組みを視察させていただいた際に,学校がプラットフォームになるというお話もありましたが,そのようなことにつながってもいるのかなというふうに思います。

 そこで,このような明石市の取り組みというのは,これからの鈴鹿市に参考になるのではないでしょうか。このように鈴鹿市としても小学校区で展開するというふうにして,話を整理していけば,これから立ち上げようとする主体,実施する方,立ち上げたいなと思ってる方々,これまでに子ども食堂をされている,行動されている市民の方々,そのような方々に対する支援をどのように自治体として行っていくのかということもわかりやすくなるというふうに考えます。

 また,このような方針が定まれば,当然,学校調理室などの利用ということも検討できます。明石市のほうでは,実際に学校調理室のほうを利用している場合もあります。公民館の利用,空き家の活用という課題にもこのようなことが検討できる。つまり,行政としても取り組みやすくなるのではないかというふうに考えるわけです。

 そして,このような学校区でやっていけば,今,地域づくりの枠組みの中でいえば学校運営協議会,コミュニティ・スクールもありますので,住民の方々,人の支援のお願いの仕方ということも整理しやすくなるのではないかというふうに考えます。
 ですので,鈴鹿市も小学校区に子ども食堂を設置していくという考え方で整理していっていただいてはどうかというふうに提案しますが,どのような考えをお持ちなのかお聞かせください。


○副議長(池上茂樹君) 子ども政策部長。
            〔子ども政策部長 坂 佳コ君登壇〕
○子ども政策部長(坂 佳コ君) それでは,私からは,中西議員御質問の子ども食堂についての地域共生の考え方を生かせるかについて答弁申し上げます。

 近年の社会経済情勢の変動により,子供の貧困対策やひとり親家庭への支援が喫緊の課題とされており,国や県,市町が多様な支援策を打ち出しているところでございます。
 このような状況において,ここ数年,ボランティア活動や子供をめぐる問題に関心のある方々やNPO法人が中心となり,放課後から保護者が帰宅するまでの間や,休日に保護者がいない間などに,食事や学習などを行いながら一緒に過ごす,居場所づくり活動が全国に広まっています。

 この,子ども食堂と呼ばれる居場所づくり活動は,特に,子供の孤食など,家庭的な環境で食事をする機会の少ない子供や貧困等で困難を抱える子供に対して,地域の社会資源である公民館などを活用して,食事の提供だけでなく,子供たちを見守りながら必要に応じて支援機関につないだり,家庭や学校に続く第三の居場所として位置づけられています。
 利用する子供たちにとっては,信頼できる大人との出会いや交流の場のほか,自習学習や遊び,体験活動など,地域社会との交流により,社会性を取得することができるなど,多様な役割を果たしています。

 三重県内における子ども食堂の活動状況でございますが,平成29年8月に三重県が実施いたしました,子ども食堂の実態調査の結果,16団体が活動を行っております。運営主体は,NPO法人や地域のボランティア団体で,一月に1回ないし2回,土曜日や日曜日の昼食や平日の夕食を提供しております。また,利用できる方を子供に限定せず,どなたでも利用できる施設が多い反面,生活困窮世帯に限定して運営することの難しさがあるようでございます。

 次に,本市の状況でございますが,平成28年8月から市内に拠点を置くNPO法人が実施しております。当初は,地域の集会所を利用しておりましたが,現在は,鈴鹿市社会福祉センターで一月に1回,休日に開催されており,どなたでも利用していただくことができます。先月17日に開催した際には,60人の方が利用され,食事の提供や遊びを通して交流が図られたとのことでございます。

 市は,このNPO法人が市内で子ども食堂を設置,運営するに当たり,支援させていただいております。
 主には,教育委員会や学校との調整を図り,子ども食堂を設置する校区内である小中学校児童へのチラシの配布や庁舎内でのチラシの設置,広報すずかの掲載でございます。
 また,NPO法人が新たな場所での子ども食堂の設置を検討された際には,地域の自治会や民生委員などと調整を図るなど,協力させていただきました。

 議員御紹介の明石市の取り組みでございますが,平成29年4月に,こども総合支援の取組みを策定し,全ての子供に,行政や民間支援団体だけでなく,市民一人一人が虐待やいじめ,不登校,貧困など子供を取り巻く課題全てに対する総合的な取り組みを進めております。
 その取り組みの1つとして,全ての小学校区に子ども食堂の開設を目指しており,ほかにも児童相談施設の整備,専門スタッフによる相談の実施,子育て環境の充実を図るための子どもの医療費の無料化や小中学校へのエアコンの導入,待機児童の解消,ひとり親家庭への支援など,多様な取り組みを進めることとされています。

 本市におきましても,平成17年度に鈴鹿市青少年対策推進本部を設置し,各部局や子供の健全育成に取り組む関係機関,地域団体の連携による対策を進めてまいりました。
 その後,平成27年度から29年度を,計画期間とする第3次子どもの健全育成推進基本計画に位置づけた各種事業を,行政のみならず,地域の多様な主体が取り組むことにより,子供たちの健全育成を進めているところでございます。

 御質問の子ども食堂について,地域共生の考えを生かせるかでございますが,地域共生社会では,支える側と支えられる側に分かれるのではなく,相互に支え合う関係が求められます。地域住民や地域のさまざまな主体が,子供たちの窮状を救う手だてを考え,行動し,子供たちの成長の一助となる活動に生きがいを見出し,地域の一員として充実した暮らしを送ることができるように,地域共生社会の考えが醸成されることで,子ども食堂が広がっていくことは,望ましいと考えますが,まずは地域の子育て支援活動を行うNPO法人やボランティア等をサポートすることで,子ども食堂の拡大につながるよう取り組んでまいりたいと考えておりますので,御理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。

○副議長(池上茂樹君) 中西大輔議員。
              〔11番 中西大輔君登壇〕
○11番(中西大輔君) ありがとうございます。今の答弁の最後のところで,NPO法人さんやボランティア等をサポートしていきたいという方針が出ていたわけですけれども,鈴鹿市としては,本来であれば地域づくり協議会の立ち上げ推進であったり,学校運営協議会ということをコミュニティ・スクールのほうを推進していくということですので,子ども政策部としてもやはり狭い領域だけではなくて,先ほど平野議員の質問の発言の中でもありましたが,やはり部局間を越えて,横の連携で話し合っていただきたいと。それは政策として仕事としてするのではなくて,あくまでこのような取り組みというのは,子供たちの育ちを支える,またいろいろな困り事を支えていくんだというところで,やはり関連の部局で検討していただきたいと思います。
 部長にもう一度お聞きしたいんですけれども,その点だけはちょっと答弁の中に出てませんでしたが,取り組んでいただくことができるかどうか,お聞かせください。


○副議長(池上茂樹君) 子ども政策部長。
○子ども政策部長(坂 佳コ君) 再度の御質問に答弁申し上げます。

 議員御指摘のとおり,貧困家庭の子供だけが対象と思われがちな子ども食堂を地域づくりの一環として取り組みを進める自治体が多いことは,認識しております。
 本市としましても,現在進めております地域づくりの取り組みの中で,子供たちを支援する活動が展開することは望ましいと考えており,そのような活動が広がるためにさまざまな団体との連携や協力を図ってまいりたいと思いますので,御理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。

○副議長(池上茂樹君) 中西大輔議員。
              〔11番 中西大輔君登壇〕
○11番(中西大輔君) ありがとうございます。答えていただきましたので,これはもう,子ども政策部だけではなくて,言いましたように教育委員会,当然入りますし,地域振興部も入ってきますし,全市的な課題として検討していただければなということを期待しまして,私の一般質問を終わります。