2016年3月
「地域公共交通の検討」


それでは,2つ目の地域公共交通の検討のほうにテーマを移させていただきます。
 今回,タクシーを活用する考え方で質問を構成させていただいたのですが,その質問の下敷きになっているのは,私の2008年12月定例会の一般質問,地域公共交通と地域活性化についてと,2010年6月,2011年3月に行った質問です。
 質問では,公共交通を線として考えるのではなくて,それが通過する地域も含めて,面として捉えて,地域活性化につなげたらどうなんだろうかということで,提案型で質問を行わさせていただきました。それが次の内容です。
 資料8を映写してください。
〔資料をスクリーンに示す〕
 当時の資料をそのまま使わせていただいておりますが,提案というのは,塩浜街道沿いに長太から白子に至る地域をつなぐと。そして,公共交通と公的施設を連携させ,地域活性化を考えたらどうか,そういう社会実験を行ったらどうかということです。
 車両については,10人乗り程度のジャンボタクシーで,路線上の各公民館事業の中に住民参加の事業を組み入れたり,特に若松と箕田というのはこの路線上に併設館がありますので。そこで市が行う保健師による健康相談や介護予防事業など,行政の福祉事業などを実施し,連携させたらどうかというふうな形で質問させていただいたわけです。それをもとに,今回の質問に当たって,組織機構改革に伴って,公共交通政策というのが産業政策のほうから都市整備のほうに移管されること,また12月定例会で,関連してC−BUSの料金改定の議論があったことから,改めて鈴鹿市の考え方を問いたいと思います。
 資料5を映写してください。
〔資料をスクリーンに示す〕
 こちら,現在,全国的にどんな状況になっているのかというのを調べるために,国土交通省のホームページのほうを見ました。そうすると,実は中に,ここに書かれております。便利なことに地域公共交通支援センターというところが設置されておりまして,実は,ここ,人口,人口密度,高齢化率,財政力指数等々を入力すると,自分の自治体と似た事例というのが検索できるようになっています。そこで,鈴鹿に似たところはないかなというふうに,入れて調べたところ,何と以前の質問と似た事例を見つけました。それは,私,公共施設マネジメントもよく言葉に出しておりますが,公共施設マネジメントのときにも紹介させていただいた神奈川県秦野市の取り組みです。
 資料6を映写してください。
            〔資料をスクリーンに示す〕
 これも,そのままサイト内にあるんですけども,少しアップにしてください。
 ここに注目していただきたいのは,赤線,上に引いてあるんですけれども,路線固定型乗り合いタクシーという内容と,その下の枠の中に,その実証運行に当たって,地域懇談会を設置し,持続可能な公共交通機関の構築を行ったという点です。それが図で説明されたものが次の資料になります。
 資料7を映写してください。
            〔資料をスクリーンに示す〕
 現在,路線固定型乗り合いタクシーというのは2ルート設定されております。これ,2ルート,両方で1日合わせて37便。1便当たり平均約3.8人の方が利用されると。運行経費は,2ルート合わせて約1,300万円,運賃収入は約816万円,それに対する市の補助金が430万円強とお聞きしました,問い合わせたところ。収益率でも実は62.4%ということになっていて,C−BUSよりもかなり高いことになっております。ただし,運賃については,一方はゾーン制というのをとっていまして,200円,250円,300円で運行されておって,もう一方は一律200円で運行されているということにはなっております。
 運行に当たって,リース車両を使って運行を行って,しかも今10人乗りでは足らない場合があるということで,12人乗りから14人乗りへの転換が行われているということもお聞きしました。
 そして,住民懇談会では,市の考え方を住民の方にも投げかけて話し合ったりされている。そして,いろんな工夫の中では,商店街と連携してポイントカードみたいなものをつくって,それが満杯になったのが3つたまると回数券と交換してもらえるというふうな取り組みが,行政だけでなくて,住民,事業者の方と協働しているということが説明を見ていてよくわかりました。このことは,やはり鈴鹿市にとって参考になるのではないかなというふうに思います。
 この秦野市の事例を参考に,さきのC−BUSの運賃改定で見込まれている約2,500万円,収支改善というか,収支がふえるというような部分を,このような路線固定型乗り合いタクシーの事業に投資して,いきなり全部ずっとやりなさいというわけではなくて,当然実証運行を,行った上での話になりますが,このような事業に投資していただければ,地域的な公平性も図りながら,公共交通の足として運行ができると思います。
 私の以前の提案も踏まえて,現在の鈴鹿市の考え方をお聞かせください。
 この質問に当たっては,当然,組織機構改革で産業振興部から都市整備部に所管が動いているということも念頭に入っていますので,それを踏まえてよろしくお願いします。
              〔資料の提示を終了〕


○議長(大杉吉包君) 産業振興部長。
           〔産業振興部長 内藤俊樹君登壇〕
○産業振興部長(内藤俊樹君) それでは,御質問の地域公共交通の検討の,タクシーを活用した考えにつきまして答弁申し上げます。
 本市の公共交通施策は,既存の鉄道や路線バスなどの公共交通サービスが受けることができない,いわゆる公共交通空白地域の,みずから移動手段が持てない,持たない,いわゆる移動制約者の方々の日常の移動手段の確保を行うため,現在,西部地域,南部地域でC−BUSの運行を行っております。
 本市では,このC−BUS4路線に加えまして,民間路線バスや鉄道により本市の公共交通網を形成していますが,現在も市域の中には,この公共交通網から離れた地域が集落単位で一ノ宮地区,箕田地区,加佐登地区に残っていると考えております。
 このような公共交通空白地域での需要は,小規模なものになることが考えられますので,本市では,これらの地域に応じました新しい交通サービスのあり方につきまして検証を行っています。
 この新しい公共交通サービスでは,小規模な需要に対応しますことから,過度な初期投資を避けますことと,幅員の狭い道路の通行が可能な車両の利用は優先的な要因になると考えています。
 近年では,デマンド方式と呼ばれます,需要に応じた予約方式の公共交通サービスも注目を集めていますので,これらのシステムとの組み合わせで,公共交通空白地域内で運行します新しい公共交通サービスにつきまして,タクシーの活用も含めて調査していきたいと考えています。
 なお,一般的に公共交通機関とは,不特定多数の人々が利用する交通機関を指し,公共交通事業者は,高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の中で,道路運送法に基づきます一般旅客自動車営業者とされています。また,地方自治体がコミュニティバスなどの一般旅客自動車営業を実施する場合は,道路運送法ならびに地域公共交通の活性化及び再生に関する法律にのっとった地域公共交通会議を設置し,同会議におきまして,地域の実情に応じた適切な乗り合い旅客運送の態様や運賃・料金等に関する事項に関しまして承認を得る必要があります。
 このようなことから,本市が考えます公共交通空白地域で当該地域の住民の皆様より御要望いただきました際に導入を検討していきます新しい公共交通システムでは,道路運送法に基づきます一般旅客自動車営業者との協働が必要と考えております。
 なお,議員より県道6号四日市楠鈴鹿線,いわゆる塩浜街道沿いの本市東部地域に対します公共交通の導入につきましての御質問でございますが,同地域は大部分が近鉄名古屋本線沿いに位置し,一部地域には近辺に三重交通の路線バスが運行していますことから,現在,本市が公共交通空白地域と考えています,集落単位で既存の鉄道駅やバス停から半径1キロメートル以遠の地域に該当しない状況でございますので,現在のところ,本市が直接運行を行う公共交通サービスの提供は考えておりません。
 現在の本市の公共交通空白地域の考え方は,国の地域公共交通確保維持改善事業の補助要件にあります,運行する区域の半径1キロメートル以内にバス停や鉄道駅等が存在しない交通不便地域であることに準じているものです。
 なお,本市が来月から予定をしておりますC−BUSの受益者負担の見直しは,C−BUSの事業費を運賃収入などで40%程度以上に目指したことに加え,本市の行財政アクションプランの中で受益者負担の見直しを求められていることと,民間路線バスとの格差を縮めることを目的に行ったものでございますので,新たな路線に対する財源としたものではありません。
 今後もC−BUSを安定的,継続的に運行していくために予定しているものでございます。御理解をいただきたいと思います。
 なお,公共交通空白地域,今現在のところ,1キロということを考えておりますが,やはり社会経済状況の変化ということも考えました中で,将来的には公共交通空白地域の考え方もしっかりまちづくりの観点の中で検討していく行政課題とは考えさせていただいております。よろしくお願いいたします。

○議長(大杉吉包君) 中西大輔議員。
             〔5番 中西大輔君登壇〕
○5番(中西大輔君) 一度で考え方が変わるとは思っていませんし,今,機構改革の中なので,動いているところなのかと思います。しかし,やはり鈴鹿市として考え直していかないといけないというところはあるんじゃないですか。
 高齢化だけじゃないんですよね。もし東京で生まれて育った人が鈴鹿に住んでいただくとして,どういうことが起こるか。東京の方って,余り免許を持っていない方がいらっしゃったりしますよね,首都圏に住んでいると免許をとる必要がないから。そうすると,その人たちは,鈴鹿に住むと,途端に,若くても足がないという状況になってしまう。首都からの移住を考えたときに,そういうまちに選ばれるかというふうになると,やっぱり鈴鹿市としては,どういうふうに公共交通を使いながら鈴鹿市を暮らしやすくしていくかということを考えることは必要なんじゃないですか。
 また,高齢化はこれからどんどん進んでくるわけで,今,高齢者の方の運転で事故が非常に問題になっています。うちも,親が2台持っていたんですけど,もう2台維持していくのも大変だし,運転も大変だから1台にしました。免許返納される方もこれからふえていくという社会の変化があるので,やはり単に公共交通ということだけではなくて,地域をどう考えていくか,活性化していくかというふうなところですが,その考え方をしっかり入れていかなければいけないんじゃないかなと。鈴鹿市は,考え方をかたくやっていくんじゃなくて,柔軟に変えていくことが求められているんじゃないかなというふうに思います。
 改めて聞くんですけど,今回,秦野市さんの取り組みのほうを,導入コストがそれほどかかっていないのは,こちらで言わせていただいて,よくわかっていただけたかと思いますが,改めて運行にかかる経費と補助金額を考えれば,鈴鹿市の独自施策としても運行可能だと考えますが,また都市マスタープランの考え方で,コンパクトシティという考え方も出ていますから,それと考え合わせて合致して運行できるかと考えますが,改めて鈴鹿市の考え方をお聞きしたいと思います。


○議長(大杉吉包君) 産業振興部長。
○産業振興部長(内藤俊樹君) 再度の御質問,まちづくりの観点の中で,新たな移送サービスというか,公共交通のあり方というところについてでございますが,当然,今後の高齢化社会も見据えた中,またはやはり都市形態も変わってまいります。その中で,新しい公共交通であったり,特定の方々に対する移送サービスというのは,やはり総合的に考えていく必要があると考えております。やはり関係します各部局連携をして,今後の新しい鈴鹿市域における交通のサービスのあり方というところについては,検討させていただきたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。

○議長(大杉吉包君) 中西大輔議員。
             〔5番 中西大輔君登壇〕
○5番(中西大輔君) 最後,ちょっとまとめとしてなんですけれども,公共交通のあり方そのものが今,世界の中では変わってきているというのは御存じの方もいると思います。民泊と,同じように──エアビーアンドビーだったかな,それと同じように,ウーバーという形で,一般の人が自分の車で運行できる,これはそのまま日本の中で使えるとは思いませんが,スマホで登録して,スマホで決済もできるというシステムでやっているのがあります。日本でもウーバーで調べると,ちゃんと出てきます。東京だけなんですけども。
 そういうふうな形で,今,公共交通のあり方というのが変わってきて,私たちの考え方も変えないといけないというふうに変わってきているわけですね。例えば,どこか1点に移動するにしても,先ほどの路線固定型乗り合いというようなことを言いましたが,それと同じような発想をすれば,別に目的地が同じだったら,みんなで乗り合わせて行けばコストを下げて行けるんじゃないかと,そういうふうな発想をどんどん入れながら,地域公共交通のあり方というのを自治体が考えていかなければ,これからどんどん地域自体が,どちらかというと疎になっていくというか,人が転々と暮らすような状態になっている中で維持していくのは難しいんじゃないかなと思います。それがなければ,これ,よく言うんですけども,鈴鹿市というのは駐車場信仰ですね。駐車場がないとあかんという発想からなかなか脱却できないんじゃないかなというふうに思うんですけれども,最後にちょっと市長にお聞きしたいんですけれども,市長として積極的にそういうことを取り入れて,一緒になって考えていただきたいと思いますけれども,その点は,地域公共交通会議は副市長が出ているんですけれども,そういうことをやっていただけるかどうか,最後に確認だけお願いします。


○議長(大杉吉包君) 市長。
○市長(末松則子君) 議員御指摘のとおり,現在,鈴鹿市でもいろいろな公共交通のあり方というものが変わってきているというふうに思っております。もちろん高齢化社会を迎える中で,高齢者の皆様方に対してのそういった公共交通というのもありますけれども,一方で,企業立地も進めておりまして,そういうところから,先ほど御紹介いただいたみたいに,いろいろな方がこちらのほうに流入をしていただいております。その際に,一番議論になりますのがやはり公共交通という面で,職場までどういうふうに行ったらいいのかとか,そういうようなお話も課題として上がってきている状況でありますので,今後,機構改革の中で部署が変わってまいりますけれども,いろいろな観点を,これからの鈴鹿市の持続可能な公共交通としてどういうふうにしていくかということは,有識者の皆様方,それから会議の中,また皆様からの御意見をしっかりと取り上げさせていただき,新しい部署の中で考えさせていただきたいというふうに思っておりますので,どうぞこれからもいろいろな課題をまた御指摘いただければというふうに思っておりますので,よろしくお願いいたします。

○議長(大杉吉包君) 中西大輔議員。
             〔5番 中西大輔君登壇〕
○5番(中西大輔君) ありがとうございます。地域公共交通を,市長もおっしゃられたように,高齢者の方々だけの課題としてではなくて,これからも鈴鹿市に住んでいく世代にとっても重要なものだということで,しっかり一緒になって取り組まさせていただきたいと思います。
 以上で,私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○議長(大杉吉包君) これにて,中西大輔議員の質問を終了いたします。
 この際,暫時休憩いたします。再開は15時5分といたします。
          午 後  2 時 52 分 休 憩