2012年9月定例会一般質問

「地域維持型JVについて」

 それでは,二つ目の質問事項のほうに移ります。
 地域維持型JV,いわゆる建設共同体についてですが,鈴鹿市として情報収集や活用導入に当たっての検討を行っているかどうかをお聞きしたいと思います。
 この地域維持型建設共同体につきましては,昨年12月に,国土交通省から各都道府県主管担当部局長などに宛てて,地域維持型建設共同体の取り扱いについてということで通達が出ております。


 地域維持型建設共同体,その後,JVと縮めさせていただきますが,については,公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針において,地域の実情を踏まえつつ活用するものとされているところですが,中央建設業審議会において,共同企業体のあり方についてが平成23年11月11日に改正され,新たに地域維持型建設共同企業体の運用準則が定められたことを受けて,今回の通達が出されたということになっております。

 この地域維持型建設共同体JVの趣旨についてですが,通達の中では,建設投資の大幅な減少に伴い,地域の建設企業の減少,小規模化が進み,社会資本等の維持管理や除雪など,地域における最低限の維持管理までもが困難になる地域が生じかねない状況にある。この通知は,このような地域において,地域の複数の建設企業の共同を促すことにより,施工の効率化と必要な施工体制の安定的な確保を図り,地域の維持管理が持続的に行われるよう,地域維持事業の実施を目的に,地域精通度の高い建設企業で構成される地域維持型建設共同企業体の導入の円滑な促進を図ることを目的とするとされています。

 ちなみに,対象となる工事というのは,1,道路に係る維持管理として,舗装修繕,路面清掃,除草・樹木伐採,植栽・芝生養生,巡回,施設点検,応急処置,その他道路維持,道路修繕に係る工事等,2,河川に係る維持管理として,舗装修繕,清掃,除草・樹木伐採,植栽・芝生養生,巡視,施設の点検・操作, 応急処置,その他河川維持・河川修繕に係る工事等,三つ目,除雪として,除雪,運搬排せつ,凍結防止,巡回状況調査等,四つ目に,災害応急対応として,情報連絡体制の構築,協力体制の編成,資機材保有状況の把握,発災時の被害情報収集,危険箇所の表示,障害物の除去,その他緊急性の高い応急復旧工事等が挙げられています。
 詳細につきましては,地域維持型建設共同企業体の取り扱いについてを見ていただくとよくわかるので,そちらを参考にしていただければと思います。

 現在,この制度を試行的に活用している自治体というのが出てきております。近隣では,8月27日の建通新聞というので,岐阜県の美濃土木管内で,土木施設維持修繕で,この制度を利用しているということが出ております。
 また,三重県のほうからも,こちらに関しては推進していくという方向の考え方が出ております。

 基礎自治体としては,千葉県の2市,柏市と白井市の2市で,これは放射能の除染作業にかかわる工事が地域維持型の事業として出されております。
 このようなことを通達内容について,そもそも狭く解釈するのか,広く解釈するのかで,物事の可能性の検討が違ってくるというふうに考えるところですね。広く解釈すると,今後,今よく公共インフラの維持というのが話題,問題,課題に出てきておりますが,これからの自治体の道路,橋梁,河川などの維持管理ということに,この地域維持型JVというのが活用できるんじゃないかというふうに考えるところです。
 そのようなことを踏まえながら,現時点で鈴鹿市において,どのように,この地域維持型JVについて取り組まれているのか,情報収集を行われているのか,お聞かせください。


○議長(矢野仁志君) 総務部長。
              〔総務部長 酒井秀郎君登壇〕
○総務部長(酒井秀郎君)
 それでは,私から,中西議員の地域維持型JVについての御質問に,答弁を申し上げます。
 先ほど議員から御紹介のあった地域の状況等を踏まえて,国におきましては,公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針の中で,地域の維持管理事業についての担い手を確保するために複数年の契約や,他業務との包括的な契約を可能とする契約方式を取り入れるなどの見直しを行い,平成23年8月9日付で閣議決定がなされました。これが地域維持型契約方式と呼ばれる契約の方法でありまして,また,この契約の相手方として地域維持型建設共同企業体,いわゆる地域維持型JVの活用についても,必要に応じて可能とされました。

 この制度については,地域維持業務に係る経費を適切に費用計上するとともに,地域維持事業の担い手確保が困難となるおそれがある場合には,人員や機械などの効率的運用と必要な施工体制の安定的な確保を図る観点から,地域の実情を踏まえつつ活用する方式としており,具体的には,複数の種類や工区の地域維持事業を包括的に一つの契約の対象とすることや,複数年の契約も可能とすること,また,実施主体は,迅速かつ確実に現場へアクセスすることが可能な体制を備えた地域精通度の高い建設業者とし,必要に応じて地域維持事業の実施を目的に,当該建設業者で構成される建設共同企業体等とするとされています。
 この指針の改正後,平成23年12月9日付で,国土交通省土地・建設産業局建設業課長からの通知によりまして,広く地方においても取り扱いが可能されたことから,幾つかの地域で,その活用が開始されております。

 本年5月1日現在で,全国の都道府県と政令市のうち,地域維持型契約方式としての包括的な契約につきましては,三重県を初め,14の都道府県と一つの政令市が実施をしています。
 さらに,その中で,青森県,秋田県,長野県の3県については,地域維持型JVの運用基準を設けるに至っております。
 なお,最近では,先ほど紹介ありましたように,本年8月27日付で岐阜県が東海3県で初めて試行的に地域維持型JVを対象として,地域維持型契約の入札広告を行ったとの報道がなされたところでございます。

 三重県につきましては,本年3月,三重県建設産業活性化プランを発表し,その中に,地域維持型契約方式の導入について記載し,維持点検事業や除草業務等を包括した契約,また,これらの複数年契約等について,幾つかの地域で試行を開始しているところでございます。
 一方,地域維持型JVの活用につきましては,そのメリットや課題の整理等を行い,今後,慎重に検討を進めていくということにしているとのことでございます。

 本市においては,地域維持型方式の入札,また地域維持型JVについて,国の指針や通知等により,この制度の仕組みについては把握しておりましたが,現時点では,具体的に導入を検討するようなところまでは至っていない状況でございます。
 今後,本市における維持業務の発注状況や受注状況,そして維持業務に係る事業者の状況の把握に努めるとともに,先進的な事例や試行の結果などを注視しながら,導入可能性等について検討してまいりたいと考えておりますので御理解を賜りますよう,お願いを申し上げます。

○議長(矢野仁志君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君)
 今,答弁いただいたように,現状のままだと恐らく,そのまま適用するのは難しいと思います。これを導入,この地域維持型JVを導入するに当たっては,いろいろなことを考えていくことが必要になってくるということですね。

 そこから考えていくと,一つの考え方としては,現在,関係各位で連携とっているということも聞いておりますが,道路舗装の維持更新等や報酬等,水道管やガス管等の更新ですね,こういうふうなものを連携とりながらやっていますよということもお聞きしております。また,これから,橋梁も含めて,公共インフラ全体の状況を把握して,そこから公共インフラ全体としての更新計画を策定して,広さはいろいろ考え方あるでしょうが,一定のエリアで,その地域の修繕も含めて,それ以後の維持管理業務なども含めて事業化するということであれば,この考え方は使えるのではないかなというふうに考えるところです。

 また,こういうふうに考えていくと,普通に考えていくと,河川であるとか,海岸であるとか,道路でも,県道があったりしても,これは県の所管になっていますが,その県の所管の分をどういうふうに市として取り扱っていくかということですね。
 鈴鹿市から,逆にこの地域維持型JVについて検討して,活用できる,また,鈴鹿市にとってプラスがあるというのであれば,三重県が鈴鹿市で行う事業について,これを導入してやってみてはどうかということを提案する。その上で,実践研究に取り組むということも考えられると思いますが,その点についての見解をお聞かせください。


○議長(矢野仁志君) 総務部長。
○総務部長(酒井秀郎君)
 再度の御質問に,答弁を申し上げます。
 本市においては,現在,市内業者で調達可能な工事は,市内業者を優先して発注し,また,可能な業務は,分離,分割発注をするなど,市内業者の育成と受注機会の拡大に努めているところでございます。

 この地域維持型契約方式につきましては,それを先行して導入する地域には,それぞれの地域の事情があると思われますので,本市においては,本市の実情を踏まえまして,内部の工事関係部署や契約担当部署などによる協議を行いながら,地域の維持業務を担っていただく事業者の方々が継続的に操業できることを念頭に,今後,複数年の継続した契約や,あるいは業務の包括発注等がもたらすメリットや課題等の洗い出しを行ってまいりたいというふうに考えております。

 また,三重県や国の動向についての情報把握にも努めまして,相互の維持業務の効率的な運営等も念頭に置きながら,あるいはさらに一方では,契約における 公平性,公正性,競争性,透明性等の確保も十分に考慮する必要がありますので,その辺も考慮しながら,この地域維持型契約,地域維持型JVについて,広く検討してまいりたいというふうに考えております。
 よろしくお願いします。

○議長(矢野仁志君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君)
 今も大体前向きに答えていただきましたので,そのとおり進めていただきたいのですが,最後,1点だけ,再度確認になっちゃうと思うんですけれども聞きたいのですが,鈴鹿市として,最近,特に話題になったのは,やはり公共工事についての入札のあり方というのが話題になったわけで,いろいろな考え方がある中で,同一工事に対して価格競争ということを入れるという考え方を決して否定するものではないのですが,逆に同一金額でも,そこに対してプラスアルファで提案される,よりよい提案する事業体に任せるという考え方もありではないかなというふうに考えます。そうすれば,社会貢献も含めた,提案も含めて契約に至る,また,それ以後の維持管理についてもやれば,その企業体がきちっと事業をやっているかというところが評価できるということで,そういう意味からも,やはりこの地域維持型JVの導入というのは検討の価値があるなと思います。

 今も言っていただいたのですが,再度,念のために,これだけは言いたいことなんですけど,この地域維持型JVというのを検討するに当たって,これ,総務部だけではなくて,縦割り,総務部だけではなくて,情報共有であるので,積極的に産業であったり,建設で,いろいろなところと絡んできますので,そこのところで連携しながら,改善とかということではなくて,逆にイノベーションの発想で取り組んでいただきたいと思いますが,その点については,鈴鹿市として取り組んでいただけるかどうか,お聞かせください。


○議長(矢野仁志君) 総務部長。
 時間がありませんので,簡潔にお願いします。
○総務部長(酒井秀郎君)
 御提案をいただきました,いろいろな工事発注のあり方等につきましても,この地域維持型契約も含めまして,今の三重県の試行の状況,あるいは,その結果,そして今後の方針等,細かく担当部局等からお聞きをしまして,さらに,その本市の実情を踏まえて,おっしゃいましたように,市の内部,あるいは外部も含めて,いろいろな横の連携も図りながら,今後の研究課題として検討してまいりたいというふうに考えます。
 よろしくお願いを申し上げます。

○議長(矢野仁志君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君)
 子供図書館についても,地域維持型JVについても,前向きに捉えていただけるというふうに解釈いたしましたので,ぜひとも進めていただくよう提言しまして,私の質問を終わらせていただきます。