2012年3月定例会一般質問

「公共施設マネジメント白書づくりを問う」

 それでは,次の質問内容,公共施設マネジメント白書について,お聞きさせていただきます。
 この公共施設マネジメントにつきましては,さきの代表質問において,関連する内容がありました。お一人目は,我がすずか倶楽部の会派長である後藤議員の質問に対して,このときの答弁では,公的施設の修繕は,大きな課題として認識している,先進地を調査研究するという趣旨で答弁がありました。
 また,開政クラブ,板倉議員への答弁では,ファシリティーマネジメントの導入は重要な政策課題として認識,県を参考に施設情報の一元化に取り組むとの趣旨で答弁がありました。

 これらというのは,公共施設の今後のあり方ですね。東洋大学の根本教授でしたが,朽ちるインフラというふうな形で本も書かれていますが,これから非常に大きな課題となってくる公共施設の維持,また,どのように運営,それを経営していくというか,管理していくかという課題というふうなことの動きが出てきていることだとは思いますが,その点について,改めて,もう一度,この公共施設マネジメント,またファシリティーマネジメントも含めた考え方について,再度,認識させていただきたいと思いますので,答弁のほう,お願いしたいと思います。
 また,あわせて,公共施設の現状と今後の維持方針について,現時点でどうなのかという現状把握というのは,これ,行政だけの問題ではなくて,この議会もそうですし,市民の皆さんも,やはり共有して持つべきものだと私は考えますが,その点については,どのような見解をお持ちなのか,お答えください。


○議長(青木啓文君) 総務部長。
              〔総務部長 鈴木良一君登壇〕
○総務部長(鈴木良一君)
 それでは,公共施設マネジメント白書づくりについての御質問に,私のほうから答弁を申し上げます。
 国や地方公共団体では,高度経済成長を背景に公共施設などの整備を行ってまいりましたが,設置後,40年以上,経過をいたしました施設も多く,その老朽化が進行して,これから本格的な更新時期を迎えることとなります。
 また,一方では,人口減少社会,超高齢社会が到来をし,地方自治体の財政状況がますます厳しくなる中,施設の更新等に膨大な経費が必要となるだけではなく,人口減少によります公共施設等の利用者の減少も予測をされ,公共施設自体が過剰になるおそれ,そういったものも懸念をされております。

 本市におきましては,現在,大小合わせますと300を超える施設のほうを有しておりまして,その中でも,学校でありますとか市立体育館,そして市民会館などの大規模公共施設の多くは,昭和40年代から50年代にかけて建設,設置をされたもので,その老朽化のほうも進んでおります。
 また,道路,橋梁や水道管などの社会インフラも経年劣化が進んでおりまして,今後,耐震化を含めた公共施設の改修,補修,更新などの経費が相当な額になるものと,このように予想をされます。

 御質問の公共施設マネジメント白書につきましては,現在,いろいろな自治体で作成されておりますが,その内容でありますとか活用方法につきましては,作成をする自治体によってさまざまでございます。
 また,中には白書を作成すること自体が目的となってしまいまして,十分な活用が図られていない,そういったケースも見受けられます。
 したがいまして,その作成に当たりましては,公共施設マネジメント白書自体が形骸化をしないよう,職員の間で目的をはっきりと共有をし,どのように活用していくのかといったことをあらかじめ,しっかりと議論すべきであろうと,このように考えております。

 さきの板倉議員の代表質問のほうに答弁をいたしましたとおり,本市では,現在,施設管理担当部局のほうが,それぞれ保有をいたします公共施設の情報を管理をするとともに,担当部局のマネジメントによりまして,施設の長寿命化等に向けました維持管理計画を作成し,その中で優先順位をつけて,年次計画等を策定をいたしております。

 また,多額の投資を必要とする施設の設置や改修につきましては,一元的な管理のもと,長期的な財政予測を行い,それらをもとに,毎年の予算を編成しており,場当たり的な対応をしているということは,決してございません。

 また,市民の皆様のニーズの高い新たな取り組みにつきましては,事業全体の選択と集中を図る中で,総合的な政策判断のもと,対応いたしております。

 このように,計画的に対応いたしておりますが,より詳細に公共施設の全体像を把握をし,コスト面,利用面等で最適な状態をつくり出すためには,効果的・ 効率的に施設を管理するファシリティーマネジメントの導入が将来の行政経営にとりましては,重要な政策課題であると,このように認識をいたしております。

 今後は,経営資源全般の管理体制を見直していく中で,まずは,施設情報の一元化に向け,コストを中心に,施設の運営状況等の情報も含め,一元的にまとめた形で公開をされております三重県の資産カルテや,あるいは先進事例,そういったものを参考にさせていただきながら,今後,調査,検討をしてまいりたいと,このように考えておりますし,また,公共施設の見える化,さらには,市民の皆様への見せる化を図っていきたいとも,このように考えておりますので,よろしく御理解をいただきますようにお願いを申し上げます。
 以上でございます。

○議長(青木啓文君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君)
 私も行政の中で,全く公共施設の更新について考えてないとは考えておりません。
 ただ,今,答弁の中でもありましたように,それぞれの部署で計画を立てているというものを,このような白書をつくることを通じて,総体として見える,つかみ取ることができるようにするということは,非常に重要ではないかと考えます。

 よく前市長も言ってましたが,あれかこれかの,あれもこれもの時代ではなくて,あれかこれかの時代ですというふうな趣旨のことをよくおっしゃってましたが,あれかこれかを選択するのは,これは行政だけではなくて,議会もですが,やはり市民の皆さんも,自分たちの子供たちにツケを残さないためにも,あれかこれかの選択をするところに入っていくということが求められる時代に入っているのだと考えます。

 そのことで考えますと,次のところにいきますが,現時点で把握するために,いろいろなツールというのがあります。
 資料のほう,映してください。
              〔資料をスクリーンに示す〕


 これは,冒頭に言いました東洋大学,PPP研究センターから,自治体等が保有する社会資本を更新するのに必要な投資額を簡易に計算できる簡略版ソフトとして公開されているものです。
 これ,ただで,無料で配布されておりますので,これは自治体としても,特にかけるコストが必要なくて取り組められます。

 また,これ,下のほうには,どのようにやっていくか,これ,エクセルを使っているということですが,このようなソフトがあります。
 また,さらに,細かいものとしては,総務省のほうからも,同じように公益財団法人日本財団の助成を受けて,財団法人自治総合センターが開催した平成22年度地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会において開発された公共施設等の更新費用試算ソフトが配布されております。このようなソフトを活用しながら取り組んでいる先進事例というのが徐々に出てきているのが現状です。

 鈴鹿市においても,いろいろ考えますと,鈴鹿市立体育館,市民会館,図書館,大物だけでも,この三つぱっと出てきますし,それ以外にも学校の,例えば防災井戸,こちらのポンプなども設置してから点検してなければ,それを更新していかないといけない,小さいものから大きいものまで入れると,非常にたくさん のものがあることは間違いありません。部長の答弁にもいただいたように,道路,橋梁だけではなくて,水道,下水道,そのようなものも更新に入っていくこと になってくるのが,これからの時期です。
 それで,話をちょっとまたもとに戻りますが,この東洋大学から配布されているソフトを利用して取り組んだ例として,資料のほう,映写してください。 兵庫県尼崎市の例があります。

 こちらは,もうその部分,一部分だけを抜き出したものですが,尼崎市さんのほうでは,このソフトを活用してデータを出して,その上で公共施設の最適化に向けた取り組みを行っているということです。
 このソフトにつきましては,最近では,松阪市さんのほうも導入して検討していくということをお聞きしています。

 ファシリティーマネジメントという形で公共施設をいかに有効に利用していくかという考え方は大切ということも理解できるところですが,まず,このように無料で配布されている計算ソフトを使えば,行政の持っている情報を統合することで,公共施設の更新についての課題というものが可視化できる,課題を把握することができると考えます。それは,行政だけではなくて,先ほど言いましたように,議会,また市民の皆さんにも同じように問題を共有していただくためには,まず,一番最初に見える化を行うということは非常に大切だと思いますが,このような東洋大学や総務省のソフトを利用して,早速にでも取り組むべきと考えますが,その点についての見解をお聞かせください。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(青木啓文君) 企画財務部長。
○企画財務部長(杉野浩二君)
 それでは,公開されているソフトを活用して,公共施設の更新費用について,状況を算出して公開してはどうかという御質問についてでございますけれども,議員からお示しをいただきました財団法人自治総合センターから無償提供されております,公共施設及びインフラ資産の更新費用 の簡便な推計のソフトウエアについて申し上げますと,これは,小・中学校,そして文化・スポーツ施設,市庁舎などの公共施設,道路,橋梁,上水道及び下水 道のインフラ資産について,将来の更新費用を推計するものでございます。

 どのように推計するかと申し上げますと,上水道及び下水道の汚水施設の更新費用につきましては,原則,利用者となる受益者負担によりまして,そのすべてを賄われるものでございますので,インフラ資産以外の公共施設についてみますと,公共施設の推計につきましては,まず,前提となる耐用年数を60年と し,30年目に大規模改修を行うこととしております。

 また,費用につきましては,他団体の試算事例をもとに,面積当たりの単価を4段階に設定しておりまして,例を挙げますと,1平方メートル当たりの更新単価は,施設の建てかえでは,市民文化,社会教育や行政に係る施設では40万円,スポーツ施設では36万円,学校教育施設は33万円,公営住宅では28万円 というふうになっております。
 一方,大規模改修に当たりましては,市民文化とか,社会教育や行政に係る施設では25万円,スポーツ施設では20万円,学校教育施設では17万円,公営住宅では17万円というふうになっております。
 こういった単価を入力して,更新費用を算出するというのが,このソフトの中身でございます。

 このソフトウエアの利用に当たっては,幾つかのメリット,課題もあるものと考えております。
 まず,現有施設のデータを入力するのに相当の時間を要するという課題もございます。推計に当たりまして,現有するすべての公共施設について,財産台帳などをもとに,個々の施設について,先ほどの4段階の単価区分ごとに,目的,数,経過年数,そして規模などを入力する必要がありまして,これには相当の時間を要すると考えます。
 このほか,推計結果につきましては,将来40年にわたって,年度ごとに公共施設全体の概算の更新費用を確認することはできるんですけれども,このソフトウエアによって推計する更新費用につきましては,財源を入れていない,事業費をベースにしたものとなっております。

 現在の制度では,小・中学校や社会福祉施設などの建てかえや大規模改造には,国庫補助とか交付金,市債といった,そういった財源が伴ってまいります。また,公営住宅では,さらに使用料も考慮する必要がございます。
 本ソフトウエアにつきましては,これらの財源を考慮しておりませんので,更新時に必要な財政負担を見るための一般財源をベースとしたものではないというのも,一つの現状でございます。

 次に,この推計の活用といたしましては,個々の施設だけではなく,公共施設全体での事業費ベースによる推計でございますので,将来の年度ごとの大まかな更新等に係る事業量を認識する効果はあると考えております。
 しかし,より将来の財政負担を推計するには,事業費ベースではなくて,一般財源ベースで行うことが重要でございますので,それには個々の施設におきまして,更新等において見込まれる財源も考慮した推計をさらに集計処理できるものとする必要があると考えております。
 いつの年度に,どれだけの一般財源が必要となるのか,また,その時点で収支のバランスにどのような影響があるのか,そういったことをあらかじめ把握することによりまして,関係する基金の確保や適正な受益者負担につながり,計画的な更新等のほか,新しく設置を考える施設についての将来の財政負担の推計にも 利用できるものではないかと考えております。

 こういったことから,このソフト利用の効果,課題も含めまして,総務部長申しましたように,今後,こういった更新費用の推計につきましては,調査,検討をしていく必要があると考えております。
 以上でございます。

○議長(青木啓文君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君)
 やらないというか,後ろ向きではないんですけど,取り組まないということは,おっしゃられてないので,それは悪くないんですけれども,時間をかければ,何とでもなってしまう。問題点を挙げていけば,それはいろいろな課題があるのはわかります。大事なことは,まず,総体として,どのようになっているかということを大つかみでも把握することにあるはずではないかと私は考えます。

 その点で,ちょっとだけ詳しい方に相談させてもらいましたら,東洋大のメリットのほうは,面積さえあれば,わかれば入力できる,ただ,大つかみの方向しかわからないということが一つあるということでした。
 総務省版につきましては,今おっしゃられたように,かなり入力する項目が多いので,かなり手間がかかると。非常にちょっとその点では労力はかかるとはなってますが,自治体としてするのであれば,総務省版のほうがいいんではないかということをお聞きしております。

 それで,先進事例ということで言いますと,これとですね,読売新聞の,これ,九州版になるのかな。そこの中でもありましたが,秦野市の例が挙がってまして,秦野市では,このような公共施設の再配置推進課を新設して,そこで再配,施設の再整備とかの問題に取り組んでいるということですね。そこで問題を抽出 した上で,どのようなことになったかというと,平成10年10月には,新たな箱物,公共施設はつくらないと宣言をして,施設の統廃合を進め,40年間で床面積を減らす目標を立てたというふうなことをされているそうです。

 そのやり方がすべてとは思いませんが,やはりこのような課題というのは,自治体によって大きな問題ですね。少子・高齢,人口減少社会の中で税収が減ってくることは間違いありませんから,いかに早い段階でリスクを減らしていくかということも大切ですので,もう一度お聞きしますが,この総務省版を活用して,鈴鹿市として,大体どれぐらい,総務省版を活用してなのか,それとも,またコンサルさんを使ってなのか,どのような方式かわかりませんが,鈴鹿市として,今持っている,それぞれの部署で持っている情報を統合して,一つの公共施設について,更新についての課題をまとめたマネジメント白書等をもう一度可視化する,見える化する取り組みということをどれぐらいの年限というか,時間軸で考えているのかということをお聞かせください。


○議長(青木啓文君) 企画財務部長,答弁は簡潔にお願いします。
○企画財務部長(杉野浩二君)
 板倉議員の代表質問のところでも答弁申し上げておりますけれども,まずは,こういったソフトの存在については認識しつつ,こういったものを活用していくという前に,県の資産カルテのような,そういうような手法もございますので,そういったものをまずは全庁的に取り入れてい く,検討していくということで進めていきたいなというふうに考えております。
 以上でございます。

○議長(青木啓文君) 中西大輔議員,簡潔にお願いします。
              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君)
 最後に提言として,一刻も早く取り組んでいただくように提言させていただいて,私の質問を終わらせていただきます。